静岡茶は危険だ、と思っている連中に

カテゴリー │社会

 「仏で静岡産茶葉から規制値超す放射性セシウム」(「YOMIURI ON LINE」6月18日)

 という記事を昨日知って、心底震えあがりました。
 数日前に、静岡のある地区で採取されたお茶から基準値を超える放射性物質が検出されたニュースがありました。
 地元ニュースでも大きく取り上げられましたが、新聞には贈答用に茶葉を用いるのを控える業者の話が載っていました。ツイッター情報なので未確認ですが、地元スーパーでは静岡の新茶が投げ売りされていたそうです。倒産・廃業する業者も出てくるとの業界関係者のコメントも載っていました。
 その後、連日のごとく、地元新聞には安全だとの科学的な検査結果が載っています。どこどこ地域での二番茶は基準値以下だとか、別の地区でも問題のない値だとか、とにかく、地元民としては少しでも安全材料を知って、静岡産の新茶の安全性と高いブランド価値を守らなければと切実に願っています。

静岡茶は危険だ、と思っている連中に さて、冒頭のニュースです。
 今日の「静岡新聞」朝刊には、たった5段で第二社会面扱いでした(クリックすると拡大します)。
 「中日新聞」静岡版では社会面でやや大きく、それでもジュビロ磐田が負けたニュースよりも小さく扱っていました。
 静岡のメディアの悪いところが出ました。
 地元有力者に都合の悪いことは極力小さく扱う、しかもそれが県政がらみだと黙殺に近いという、かつて何度も何度も目にした光景です。
 本県の主要農作物の危機です。一面トップで扱ってもおかしくない事柄です。社説でも提言するべきです。
 この、知事や県庁、県内大企業に対する腰の引けた対応をしている限り、新聞メディアの復権は難しい、と断言します。

 もうひとつ、大事な話です。
 私がこのニュースを知ったのは、ツイッターの下記の書き込みでした。

 「静岡県知事、何の根拠もなく静岡茶の安全宣言をするのは勝手だけど、輸出したフランスの税関で1000ベクレルを超えるセシウムが検出されて162kgもの静岡茶が廃棄処分。こんなことしてたら他の日本産の食品も各国から敬遠されると思うんだけど。」

 インターネットは基本的に、誰が何を書いてもかまわないと考えています。ただし、ネットに限らず、書いたことの責任は取らなくてはなりません。
 昨日の昼の時点で、すでに多くの人にリツイートされていました。今ではもっと多いでしょう。
 頭の冷却装置が壊れている私は、この書き込みを読んで、筆者を絞め殺したくなる衝動に駆られました。
 他の原発による風評被害で苦しんでいる農家などと同じく、静岡の茶農家や製茶業者、小売業者は、廃業や失業も頭をよぎっています。私の仕事は茶葉の生産・流通には関係ありませんが、それでもお茶は静岡県の誇りです。他県の友人に胸を張って毎年新茶を贈っています。
 科学的知識があまりありませんが、現在、静岡県内の大半では放射性物質の値は基準以下です。
 県の発表の遅れは批判されましたが、データを隠蔽したり捏造したりということは報道を見る限り、ありません。文中の「何の根拠もなく」は間違いなく筆者の誤りです。
 また、静岡茶から高い放射性物質が検出されたことと、日本産食品が世界中から敬遠されることを結び付けて書いていますが、日本産農作物が受け入れられなくなる責任が静岡県にあるとの錯誤を招きます。

 この筆者は、どうやらインターネット社会では影響力のある人のようです。事実は事実なのだから仕方がありません。でも、それによる影響について、この筆者はどのような責任を感じているのでしょう。静岡茶が危険であるとの誤解を広め、それが一因となって製茶業界の人が職を失い首を吊ることになっても、筆者はそれでも静岡茶の危険を説くのでしょうか。
 そして、おそらく善意でリツイートした100人を超える人たちは、自分のフォロワーに広めた本件ついて、どう責任を取るつもりなのでしょうか。

 昨日の第一報から一夜明け、こんなふざけた「まとめサイト」ができています。

 「痛いニュース(ノ∀`) :静岡知事 「飲用茶にすれば問題ない」 仏での放射性物質検出受け」

 何度も言いますが、私は科学的知識が皆無です。ですから静岡県知事が話していることが本当かどうかはわかりません。
 ただ、新聞で知ったことですが、「茶葉」「荒茶」「製茶」「飲料茶」では、検出される放射能の数値はまったく異なるということは科学的事実です。
 また、私も静岡県民ですので、ある程度の製茶の知識は知っています。サイトに並ぶ汚らしい言葉にいちいち反論するつもりはありませんが、ちょっとお茶の本を読んでもらえればかなりのところ間違っていることはわかります。
 こいつらを相手にするつもりはありません。ただひとつ言わせてもらえれば、私をはじめ多くの静岡県民は、「高いセシウムに汚染された」今年の新茶を淹れて、毎日、毎食後に飲んでいます。
 私の身体には今のところ何の異常もありません。検査しろと言われればいくらでも検査します。その結果、内部被ばくをしていたら、そのときはいくらでも静岡茶や静岡県民を非難してください。
 誰でもいいですから、ガイザーカウンターを持ってウチまで来てください。連絡待っています(その勇気があればですが)。

 県もマスコミも、変に隠したり矮小したりする報道は、かえって疑心暗鬼になります。情報は速やかに出すべきです。
 それと同時に、冷静な情報収集を心がけ、ネット上の流言に惑わされることは厳に慎むべきです。
 ネットの「ネタ」にするなんて、もってのほかです。いま、この瞬間にも、廃業するか首くくるかと悩んでいる業者もいるかもしれません。
 それをわれわれ日本人は、たった3カ月前、あの大震災のときに学んだばかりではなかったのですか?


同じカテゴリー(社会)の記事
語られない言葉
語られない言葉(2021-03-11 08:00)

「人間」らしく……
「人間」らしく……(2020-04-01 06:48)

外に出よう
外に出よう(2020-03-19 12:44)


 
この記事へのコメント
内部被曝しているか、していないかと科学的に問われれば、静岡のお茶なら高い確率でセシウムに汚染されているので、それをそのまま飲んでいるのなら、間違いなくセシウムで内部被曝しています。これは断言します。ただし、それが健康に影響が出るかどうかはまた別の話です。出ない事も十分考えられますが、消費者は選ぶ権利を持っています。当然言論の自由もあります。静岡県の製茶関係者が東電に保障を求めずに、消費者心理を無視して己の儲けを最大にしようとするなら、消費者も防御するのみです。そのためのネットですから。間違えないで下さい。消費者にケンカを売ってきたのは静岡県なんです。たとえ健康被害が出ても、製茶関係者は責任を負うつもりはないでしょう。なら、責任という言葉を安易に使わないでもらいたい。健康被害が出たら、それでアウトなんです。
Posted by 静岡茶元愛好者 at 2011年06月29日 03:46
とりあえず自分の文章をもう一度見直してみてください。論理は破綻しており、語義もいい加減です。科学的知見を持ちだしていますがここでは意味がありません。
とりあえずひとつだけ。静岡県庁も370万人の静岡県民も、誰ひとり、消費者にケンカを売ったことはありません。
あなたのコメントは不愉快なので「負の遺産」としてこのまま残しますが、今後は一切削除します。
Posted by 大橋輝久大橋輝久 at 2011年06月29日 12:56
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
静岡茶は危険だ、と思っている連中に
    コメント(2)