受賞の報

カテゴリー │静岡の話題

 今日は春の叙勲のニュースがありました。勲章とかを見せびらかしたりしている人がいると、お上からうやうやしくモノもらって、なにが嬉しいんだこの権威主義者!なんて毒づいている愛国心ゼロの大橋でございます。(こんなこと書くと、またサヨクだって言われちゃうよ。でも、墓石にまで彫り込んでいる人もいるからなあ。死んだ後も自分が権威主義者だってことを喧伝したいのかな、ああいう人たちって)。
 そういう私でも、多少なりとも郷土愛はあるわけでして。今朝の地元新聞で知りました。

 「平成18年度静岡県文化奨励賞受賞者の決定」(静岡県ホームページ記者提供資料より)

 今回受賞されたうちのおひとり、福井順治先生は、私の高校時代の担任だった方です。
 当地・磐田市の桶ヶ谷沼で絶滅危惧種であるベッコウトンボの調査・研究をずっと続けてこられ、校内では「トンボの福井先生」で通っていました。わが母校には、こうした、こつこつと地道に業績を積み重ねて来られた先生が何人かおられました。在野の研究者の中にも、大学の先生と変わらない偉い方がいらっしゃることを、福井先生をはじめとする緒先生方から学びました。
 物静かな方で、授業も奇をてらった内容ではありませんでしたが、導入部でまったく関係ない余談を延々していると思いきや、実はそれが壮大なる伏線だったということで驚いたこともたびたびでした。友人と「あの教え方はすごいな」と話し合ったりしたものです。

 そうはいっても、個人的には親しくお話しさせていただいた思い出はあまりありません。私が根っからの文系、先生は担当が生物ということもあり、さほど接点はありませんでした。
 それどころか、高校三年生という多感な頃で、進路やその他いろんなことで多くのご迷惑やご心労をお掛けしてしまったことしか記憶にありません。
 それでも、数年前に母校を訪れ、偶然先生にお会いした際、私のことを覚えていてくださいました。若干前髪の生え際が後退しただけで、穏やかな学究肌の印象は在学時からなんにも変わっていませんでした。
 今では静岡県内の別の高校で教頭をされていると記事にはありました。

 サヨクで非国民(おまけに親不孝で不忠義者で忘恩の徒)の私ですが、嬉しいことは嬉しいので、今日だけは権威主義に寄り添って美味い酒を飲もうと思っています。派手ではないけど地道な活動をしている人が評価される世の中って、やっぱりいいよね。おめでとうございます。乾杯。


 

ヘトヘト日記

カテゴリー │いろいろ

 ある問題を抱えていて、ここ数日間、仕事終わりや休みの日をつぶして公的機関を回っています。
 事情はもちろん書けませんが、ヘトヘトです。

 昨日は某市の某役所へ行ってきました。滅多に乗らない新幹線を使いました。書類一枚提出するだけなのに、なんて贅沢な。
 担当の方にはたいへん親切にしていただいたのですが……。
 ふだん私たちがしゃべっている言葉と、法律や行政用語って、まったく異なるのですね。
 こうしてブログに書いて普通に通じることも、役所の書類の書式には合わなかったり。
 普通の生活者にはわからないことだらけで、頭の中は大混乱でした。
 (おそらく役所の方も説明するのに骨が折れたことでしょう)
 なんだか違う国や星に行った気分でした。
 赤ペン添削なんて、高校生のとき以来ですよ(実際は赤ペンでなくシャープペンシルでしたが)。

 私が求める(←こういう言葉を使わなくてはいけない。そんなに厳しい意味合いはないのに)事案(←ハイこの言葉ね)は決して不当な(←コレね)ものではなく、ただ当事者同士が笑いながら握手できるようになりたいというだけなのに。
 別に「謝罪しろ」とか「慰謝料○万円支払え」とか言いたいわけじゃないのに。勝ち負けを争いたいわけではないのに。

 円満解決できたらまた報告します。もちろん、法やプライバシーなどの範囲内でですけど。あー。本読みたい!映画観たい!行政手続きなんてもうしんどいよー!


 

藤色に包まれながら

カテゴリー │静岡の話題


 予定外に時間が空いてしまったので、自転車でふらりと熊野(ゆや)の長藤を見てきました。『平家物語』で、親孝行で和歌の才能に秀でていると書かれている熊野御前にゆかりの藤です。
 平日の昼下がりだったので、来場者は年配の夫婦、小さな子どもを連れた奥様方、学校帰りとおぼしき子どもたちといった近所の人たちが、散策したり、写真を撮ったり、お茶を飲みながら談笑していたりしただけで、静かに見られました。
 中にはプロ用かと見間違うほどのカメラを下げた初老の方や、愛犬と一緒に見物に来られた方もいらっしゃって、微笑ましい光景でした。

 花はまだ半分くらいしか開いていませんでしたが、それでも藤色に彩られたお寺の境内で存分にくつろいできました。藤の香りに包まれながらベンチに腰掛けて、ゆっくり時が流れる中で、何をするわけでもなしにただぼーっとしているだけという、最高に贅沢な時間を過ごすことができました。
 たぶん今週末から来週のゴールデンウィークあたりが満開となり、その頃には一メートルにも伸びた花弁が空から垂れ下がってきます。

 「熊野の長藤まつり」というイベントも同時に開催され、いろいろな催し物があるそうですが(磐田観光協会のブログを参照)、観光客がたくさん訪れると、かえって情緒が損なわれたりもします(市の担当者はそんなこと言ってはいられないでしょうが)。
 観光協会ブログには不満の声もいくつか寄せられていますが、イベントと思わずに、八百年前(五百年との説もある)から続く藤を愛でるつもりで来るだけでも十分に満足してもらえるでしょう。

 撮影会や写真コンクールもありますので、自慢の機材でファインダーに収めるのもよし。新茶を水筒に入れて持っていって、飲みながら鑑賞するのもまたよし。熊野御前を気取って歌を一首詠んでみるのもこれまたよし。豊潤で幸福な時間を味わえることでしょう。
 浜松まつりも霊界散歩もいいですが、こちらにもぜひ足をお運びください。できましたら、なるべく人が少ない平日に。

 詳しくは豊田町商工会「熊野の長藤まつり」ホームページをどうぞ。
 地図はこちら。GW中はJR豊田町駅からシャトルバスが出るそうなので、自家用車よりもそちらを利用してもらえると地元民としてはうれしいです。


 

本館更新しました

カテゴリー │書籍・雑誌

 本当に、本当に、久しぶりに本館を更新しました。前回から2ヶ月以上も経ってしまいました。

 「芸能総研レビュー『霊界散歩 めくるめく新世界へ』」(芸能問題総合研究所

 宗教団体「幸福の科学」の代表、大川隆法さんの本です。ベタにとらえる人もいるかもしれませんので断っておきますが、冗談半分の不真面目な内容です。
 まあ、このブログが真面目なことばかりになっちゃっているので、本館ではたまには不真面目なものもいいかなと思っています。

 で、それに関連して、なんだか最近は「スピリチュアル」ブームなんだそうです。それについて面白い新聞記事を見つけたので紹介したいのですが、非常に疲れているのでまた明日。では。


 

「力道山」にみる日韓の感情

カテゴリー │プロレス

 本館で紹介しようと思って、ついつい先延ばしになってしまった映画に、日韓合作映画「力道山」があります。いろいろな人が好評を寄せています。私もプロレスファンとして、大きな興味を持って観ました。
 見所は、本物のプロレスラーが相手のプロレスシーンです。力道山役の俳優、ソル・ギョングが悲しみと栄光を背負いながらのバトルは必見です。本人も相当な役作りをしており、おそらく大変な量のトレーニングをしたのでしょう。そして、対戦レスラーは、いずれも現役のプロレスラーです。彼らの「受け」が主役を引き立たせています。プロレスは、一人ではできず、相手がいて、そして、相手の「受け方」でヒーローが輝くという本質を見事にスクリーンに描いた秀作です。

 しかしながら、私は、非常に複雑な気持ちで映画を観ました。
 映画は史実をもとにしたものとはいえ、エピソードは大きく変えられています。
 力道山が在日朝鮮人であったことは今ではよく知られています。そして、苛烈な差別を受けてきたことも、わかっています。大相撲で関脇まで登りつめながら、髷を自ら落とした理由を、力道山本人は語りませんでした。親方や相撲協会との確執からと言われていますが、朝鮮人ゆえに横綱になれなかったことが遠因にあったのではと憶測を巡らせる人もいます(李スンイル『もう一人の力道山』小学館)。


 

「プロデューサーズ」

カテゴリー │映画・演劇・その他

 トニー賞12部門を受賞したミュージカルを映画化した「プロデューサーズ」を観てきました。
 ミュージカルについてはほとんどわからないのですが、歌もダンスも上手いものでした。劇中歌の歌詞にもあったけど、ミュージカルは楽しくなくては、と思った次第です。

 でもね。なんちゅーかね。
 すべりまくりのギャグ、記号をなぞっただけの演技、ちょっとこれはね……。

 以前ニューヨークへ行ったときに、ブロードウェイのミュージカルを観なかったことが悔やまれます。というのは、ブロードウェイミュージカルの演技の「文脈」がよくわからないのです。
 たとえば、演劇の演技とテレビドラマの演技は、上手さが全く異なります(といっても、偉そうなことを言えるほど観ているわけではないので、専門の方は、素人の感想だと思って読み飛ばしてください)。
 新劇やミュージカルの俳優がテレビに出ると、テレビドラマを見慣れた人は「クサイ」とか「わざとらしい」とか「大袈裟だ」とか思います(市村正親や鹿賀丈史あたりを思い浮かべてください)。でも、それが演劇における上手さです。
 逆に、テレビドラマで人気の俳優が舞台に上がると、とても見てはいられないなんてこともよくあります。
 (ちなみに、ラジオドラマやアニメーションは演劇の演技手法に近いです)

 一応 ミュージカル映画も、他のアメリカ映画も、話題になったテレビドラマも、それなりに観ているつもりなので(「24-TWENTY FOUR」は一度観ただけでやめちゃったけど)、演劇の演技、映画の演技、テレビでの演技の違いは押さえているつもりです。
 もし、ブロードウェイでミュージカルを観ていて、「これが本場のミュージカルの演技だ」というものがわかっていれば、この映画の見方も少しは変わったかもしれません。「映画では不自然だけれど、ミュージカル映画だからこれでいいんだ」と。

 でもね、でもね……。
 俳優はいいんですよ。よかったのですよ。でもね……。

 始まって10分も経たないうちに席を立ちたくなった映画は久しぶりでした。


 

未成年者禁酒ファシズム

カテゴリー │政治


 コンビニの店員さんの多くが最近このバッジを胸につけています。
 評論家の小谷野敦さんが昨今の風潮を「禁煙ファシズム」と称して強く断罪していますが、私はそれにならって「未成年者禁酒ファシズム」と呼ぶべきだと主張します。

参考・弊ブログ「政治的に正しくない飲酒と喫煙」←ぜひ読んでください。

また、現在発売中の「週刊朝日」(4月21日号)では、「酒政連事件」での使途不明金が、どの政治家に渡って、どのような政治工作が行われたかが、実名入りで掲載されています。私の得ている情報とかなり合致しています。ここまでいうと、「ファシズム」だけでなく「疑獄」とさえ言えます。

キャンペーンは、「ビール酒造組合の概要・組合の活動より「STOP!未成年者の飲酒キャンペーン」に詳述されています。現在ここが旗振り役のようです。


 

眠りを覚ます検索エンジン

カテゴリー │インターネット

 今日は夜勤だっていうのに眠れず、ついつい気になって、でもつまらぬことをパソコンで調べてしまいます。
 で、余計なことまで調べてしまって……。

 この「はまぞう」ブログには、アクセス解析サービスがついており、誰が、どこから、どの記事を、どのくらい、読んでいるかがわかります。
 当然、検索エンジンで調べてくる人も多いのですが、その検索ワードを解析していて、驚きました。
 ほとんどの検索ワードで、このブログが検索上位に並んでいるのです。
 新聞社の記事やネット書店サイトの次くらいに位置されているものさえあります。

 ネットの本を読むと、検索サイトで上位に並ぶためのコツが紹介されています。なぜなら、オンラインショッピングでも、個人のブログでも、検索上位に来なければ、アクセスされないのです。ヤフーでもグーグルでも、検索結果の7ページ目、8ページ目まで調べようなんてことは、相当関心がある項目以外はほとんどないでしょう。
 ですから、少しでも検索エンジンの上位に並ぶよう、ネット企業はいろいろな手を使います。

 それが、なぜか私のブログが上位に……。

 たとえば、今日の新聞に、与党が教育基本法の改正案で、「国および郷土を愛するとともに(以下略)」の文言を入れる方向だという記事がありました(静岡新聞4月12日付)。
 このニュースに関心がある人が、もっと知りたいと思って、関連のある「愛郷心」なんて言葉をグーグル検索すると、こうなります。
 http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E6%84%9B%E9%83%B7%E5%BF%83&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=
 たかだか個人でやっているブログが、なんと検索結果33600件の中で、上位3位に入ってしまうのです。

 私が書くことなどタカが知れているので、この「はまぞう」ブログがいかに性能がいいか、すなわち検索エンジンと相性がいいか、ということです。
 ということは、ユーザーの我々も、より一層の重い責任を負います。たかが個人の日記のつもりで気軽に書き飛ばしてきたことが、誰かの目に留まる確率が非常に高くなります。もし間違ったことや、個人や団体への誹謗中傷、個人情報や仕事上の守秘義務などがあったら、誤った情報や問題のある文章が多くの人に伝わることになってしまいますから。
 これは、ブロガーにとってかなり重要なことです。

 そんなことを考えていたら、ますます目が冴えてきました。どうしてパソコンで調べ物をしようかと思ったかというと、ずーっと、ある言葉の語義説明や、それに内包される意味がどうしても頭の中で引っかかってしまい、寝付けなかったのです。それは、

 「ツンデレ
 http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E3%83%84%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AC&lr=

 という言葉でした。
 ……寝てないとロクなこと思いつかないや。早く寝よ。誰か~、ドリエル買ってきて~。

 (この文章にも「ツンデレ」や「ドリエル」で検索してくる人がいるかも。アクセスしちゃった方、ごめんなさい、無関係なサイトです)


 

ちょい不良(ワル)代議士?

カテゴリー │書籍・雑誌

 光文社から発行されている雑誌「STORY」の5月号に、昨年「刺客」として当地から当選した片山さつき衆議院議員がモデルとして掲載されています。なんと第一特集のトップです。タイトルは、
 「衆議院議員 片山さつきさん 変身講座」
 です。ヘア・メイクは藤原美智子さんが担当しています。
 かねてより「構造改革よりも髪型の改革のほうが先だろ!」と思っていた私は、おもいっきりビックリしてしまいました。人間、外見じゃなくて中身だろうと思っていますが、外見を変えるだけで、こんなにもイメージが変わるものなのですね。

 「STORY」は、80年代初頭の高度消費文化を牽引してきた女性たち(「元祖JJ世代」と呼ぶ人もいる)に向けた雑誌で(その本家「JJ」が「Can Cam」に大きく水を開けられているのが皮肉です)、片山氏も同じ世代です。去年の選挙ではブランド物を多く身に付けていると報道で中傷されましたが、同世代の女性としたら特別のことではありません。同誌に載っていた片山氏の私物のバッグはフェンディでしたが、それくらい今の女子大生でも持っています。

 それよりも呆気にとられたのが、この記事での異様ともいえる片山氏への持ち上げ方です。この賛美のしかたは、まるで皇族の記事のようです。女性雑誌はたまにしか読まないのですが、もともとこういう書き方なのでしょうか?
 もしかして、自民党が持ち込んだ企画だったのでしょうか?以前、小渕優子衆議院議員が「an・an」に載ったときには誌面の下に「協力 自由民主党」のクレジットがあった(らしい。私は未読)のですが、この記事は何も書かれていませんので、本当のところはわかりませんが。でも、あの世耕弘成参議院議員が指揮を執る自民党広報本部ならば、それくらいやってもおかしくないでしょうが。
 (参考・世耕氏の著書『プロフェッショナル広報戦略』ゴマブックス。自民党圧勝を分析する上で必読です)

 いずれにしても、いろんな意味で驚く記事です。書店で見かけたらぜひ立ち読みしてみてください。


 

不可解な記事

カテゴリー │静岡の話題

 また新聞の話で恐縮ですが……。
 ウチで購読している静岡新聞の今日付け紙面に、創価学会の池田大作名誉会長による論考が掲載されています。「上」とあるので、連載なのでしょう。
 場所は4面の国際面に32行×8段扱いの囲み記事、以前はイラク戦争でのアメリカの誤算といった、共同通信特派員のリポートが掲載されていた場所です。
 今日の同じ面にも、国連予算やイスラエル首相代行の組閣など、バリバリの世界情勢の記事が並んでいます。
 そこに、「伸びゆく生命(いのち)に 人間教育を考える」と題された、完全に場違いの池田氏の寄稿文が……。

 なぜ???

 静岡新聞には学会系の雑誌の広告も載っていますが、他の雑誌広告と同じく、記事と完全に分かれています。自社関連のパブリシティ記事もよくありますが、「(静岡新聞社・静岡放送後援)」というように、それとわかるように書かれています。池田氏の文章は、そういったものではありません。
 県内在住者や本県にゆかりのある企業人や学者などの論説やインタビューも時折掲載されますが、学会が日蓮正宗(本部は本県富士宮市にある大石寺)と手が切れた今では、池田氏が静岡県と関係が深いなんて話は聞いたことがありません。

 論考そのものは悪くはないんです。本県の教育にまつわることも書かれていますし、中でも浜松市で国際交流に尽力ををしている日本語教師の話は、素直にすばらしいことだと思いました。
 しかし……。

 どうして、今、唐突に、池田氏の連載が始まったのか、まったく不思議です。
 仮に通信社の配信だとしても、掲載する理由がなにもわかりません(配信記事ならば特段静岡の教育について触れる必要はありませんので、おそらく違うでしょう)。

 いったい何が起こっているのでしょう?考えれば考えるほど不可解です。


 

毎日の連載に期待する

カテゴリー │社会

 ドラえもんの話はまた今度にして……。

 毎日新聞の連載「縦並び社会」の第3部が4月からスタートしています。

 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/tatenarabi/

 昨年末から今年初頭にかけての第1部「格差の現場から」は、かなり話題になりました。記者がいろいろな現場に飛び込んでの体験ルポで、かつてもてはやされたIT企業社長の現状、偽装請負、派遣労働、中国で働く若者など、各所での過酷な立場に置かれている労働者・生活者の姿が生々しく活写されていました。『希望格差社会』や『下流社会』など学者やマーケッターの本が話題となっていた頃ですが、漠然とした数字や理論ではなく、実際にそこで生きる人の姿を読んで、相当な衝撃を受けました。
 ルポにあった人と同様の立場の人からも多くの反響があったようで、第2部の「読者の声を追って」では読者の意見をもとに追撃取材をしています。これもまた正視できないような現場の声をリポートしています。

 現在連載中の第3部「格差の源流に迫る」は、なぜ格差が拡大し、現場が瀕死の状態にあるのか、その政策決定過程に迫る記事となっています。規制緩和の先頭に立った宮内義彦氏(オリックス会長)、竹中平蔵氏(総務大臣)のルーツを追っており、昨日(4月5日:ネット上の日付)の記事「消費者優先の果てに」では、竹中氏の故郷、和歌山市の商店街の現状と大店法廃止のプロセスについてリポートされています。

 さまざまな格差の問題は私にとって身近なことです。郊外―中心部、正規雇用者―非正規雇用者、若年層―年配者、高度な教育を受けた人―そうでない人、日本人―外国人(ニューカマー)などなど。職場や日常生活で常に意識させられ、そのたびに深く考えさせられます。
 ただ、ネットで直截に書くことは、今ではなるべくしないようにしています。一般論ならばともかく、私としてはまず現場でどうにかすべきことです。この件については私は学者でもジャーナリストでもなく、当事者ですから。不満を言う前に、現場で格闘するのが先です。

 とはいえ、もちろん、問題提起を続ける専門家やジャーナリストの仕事には大きな敬意と尊敬の念を抱いています。
 この決して単純でない問題に、毎日新聞の記者たちがどのように挑み、結論を出すのか、注視していきます。
 「マスゴミ」への批判や、ネットの普及で新聞はなくなるとの主張があちこちで見られますが、「新聞はやるじゃないか」「やっぱりプロの記者は素人のブロガーとは違う」「こういうのを載せるのならば、(紙媒体でなくとも)お金を出してでも読みたい」と、読者に強く意識させるような記事であってほしいと、大きく期待します。


 

俺はいいと思ったんだ文句あるか!

カテゴリー │映画・演劇・その他

 ちょいと酔っ払っているのでまともなことは書けないのですが……。
 映画『ナルニア国物語』観てきました。Yahooの映画評ではかなり評判がひどいのですが、私は相当楽しめました。原作を読んでいる人とそうでない人(私は後者)、「ロード・オブ・ザ・リング」を観て比較している人とそうでない人(私は後者)では感じ方が全然違うようです(逆にgooの映画評では高評価が多い。なぜ?)。
 主人公の子どもたちが第二次大戦のイギリスに生きているからというわけではないですが、ナチス・ドイツのファシズムや大量殺戮と、抵抗する連合国を重ね合わせて観ました。今の時代で「正義」と「悪」の線引きは極めて困難ですが、悪役のティルダ・スウィントンが大熱演しており、徹底した悪の魅力を際立たせているので、主役の兄弟姉妹が拠って立つ正義が明確になっています。歴史に残る映画には重要な悪役の存在が不可欠で、思いつくだけでも「第三の男」のオーソン・ウェルズ、「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンスなどがいますが、彼女の演技も悪の俳優史に連なるのではと思います。
 ちょっとこれは、というのは、登場人物(動物も含む)の役割がステレオタイプだったこと。ジェンダーや家庭内の役割、さらには動物のイメージも。たとえばライオンは百獣の王、狼は冷徹な捕食者、というように。もう一ひねりほしかったのですが、引っかかるところはそこだけで、あとは話も映像も面白かったです。

 私は映画も小説もファンタジーはほとんど見ないのですが、「ハリー・ポッター」とストーリー構成が共通するところがあって、これがファンタジー作品の基本というか王道なのかなと感じました。
 すなわち、少年少女(不遇な立場に置かれている)が異世界に紛れ込む→そこで運命や使命を知る→苦悩や葛藤が生じつつも活躍→友情や愛などを知って現実世界に戻る、という成長譚です。単純ではありますが、観てる側としては、これはたいへん小気味いいのです。
 そう思うと、日本が誇る子ども向け映画の「ドラえもん」も、王道を歩む堂々としたファンタジー作品なのです。
 と、もう一つの春の映画、「ドラえもん」についても詳述しようと思ったのですが、酔いが回ってきたようなので、続きは次回。では。


 

障害者自立支援法

カテゴリー │社会

 今日から新年度。いろいろなことが変わります。
 PSEマークや「ワンセグ」(←よく耳にするがいまだに何のことかわからない)ほど報道されていませんが、「障害者自立支援法」という法律が今日から施行されます。
 医療サービスにかかる金額の原則1割を利用者が負担するという仕組みです(実際には所得によって負担の上限が異なるなど違いがあります)。

 私の場合を例にとります。私はごく軽い病気で総合病院の精神科に通院しています。もうほとんど異常はないのですが、月に2回ほど病院に行っています。
 精神科にかかると、長期の通院は当たり前です。風邪ならば治ればそれで終わりですが、精神疾患はそうはいきません。うつ病は初期に適切な治療をすれば完治しますが、大半の場合、症状が良好になってからも適切な投薬や医師の助言・観察が必要で、10年、20年と通院している人もざらにいます。私の場合もそれで、ほとんど「3時間待ち、3分診察」ですが、通算してもう6年くらい通っています。
 そのたびに、医療費が3割負担で1500円以上かかりました。薬代もそれくらいします。

 ところが私は、5%負担で済んでいました。医療費230円、薬代190円くらいでしょうか。ものすごく助かっています。
 どうしてこんなに安くなるかというと、精神保健福祉法32条に基づく「通院医療費公費負担」(通称「32条」)という制度を受けているからです。精神科の通院は前述のようにどうしても長くなるので、こういう制度はすごくありがたいのです。
 さらに、以前にいた大阪府では、自治体が5%分を負担してくれていました(たしか京都府もそうでした)。これにより、私のサイフから払う医療費はゼロ円でした。これにより、経済的に安心して通院することができたのでした。

 ところが、今日から「32条」に変わって「自立支援医療」になります。負担はこれまでの倍になります。
 つまり、一回の通院・投薬で、約1000円・・・。
 いつ終わるかどうかも知れない治療に、約1000円・・・。

 えー、小泉総理様。

 貧乏人からこれ以上金を取って、なにが楽しいのですかicon21

 いやね、私はどうでもいいのですよ。自分の通院費くらい何とか稼げてますし(と、さらりと書いていますが、ここに至るまでは多くの人の暖かい支援と励ましがあったのです。感謝m(__)m)。
 でも、私のような、そこらの病人よりも元気な通院患者ばかりじゃないのですよ。立つのも動くのも辛い、ましてや仕事なんてとてもできないっていう人も、ものすごく多いのです。家族だって、苦労が多いのですよ。
 そんな、声にならない悲鳴が、「官から民へ」の小泉改革を推進している人の耳には聞こえてるのかなー???