ああ栄冠はN君に輝く

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 N先生が結婚したとき、先生は私の担任でした。
 当時組長(学級委員のようなもの)だった私は、クラスメイト全員からお金を集めて、結婚祝いを買いに行きました。高価なものでひとりでは心配だったので、母に付いてきてもらいました。今は破綻したデパート「松菱」で、2客1組のワイングラスを勧められ、松菱自慢の凛とした真っ赤な包装紙をかけてもらい、熨斗紙も「祝御結婚 生徒一同」と立派なものをつけてもらいました。

 翌年、N先生に男児が生まれました。その次の年の文化祭実行委員会が悪乗りして、文化祭でサプライズゲストとして、N先生と、両腕に抱かれた年端もいかない子どもがステージに姿を現しました。
 悪ふざけに辟易としながらも、あれがN先生の息子かあ、と、客席の後方からながめていたものです。
 「Nが打てば、打線が勢いづく」。○○高のK監督は3安打2打点の活躍で、チームを2試合連続のコールド勝ちに導いたチームの主砲をたたえた。(中略)「パワーはないので、確実に打ちかえるようにしている」とN。「チャンスには燃える」と勝負強さも発揮した。
 今日(7月25日)の静岡新聞朝刊です。たった3段、25行の扱いでも、激賞です。

 あの文化祭から15年、幼かったN先生のお子さんは、私の母校であり、父が教鞭を執る学校に入学し、野球部に入部し、いつしかたくましい青年となっていました。残念ながら今日の試合では負けてしまいましたが、Nくんはまだ2年生。来年があります。

 先生にはお世話になりっぱなしでした。入学以来ずっと地を這うような成績で、職員室で肩身の狭い思いをされていたと察します。それでも得意科目の現代社会の成績を褒めてもらったことは忘れません。そのとき返してもらった成績表の隅に「プレゼントをありがとう」と照れた字で書いてあったことも。クラス全員で金出したのに。
 心身の病気で郷里に10年ぶりに戻ってきたときにもお会いしましたが、私のことをちゃんと覚えていてくださり、体のことを心配してくださいました。

 そういう私は、この年になっても、何もお返しできていません。

 ですからNくん。今日はゆっくり休んでください。そして、来年はもっともっと素晴らしい活躍をして、我が母校の名を上げ、お父さんを大満足させてください。そして、先生に最高に美味しい酒を飲ませてあげてください。

 ……私、高校野球が大嫌いなはずだったんですけどね。どうしちゃったんだろか?


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