私的ダイバーシティ・マネジメント論

カテゴリー │社会

 ブログの更新がおろそかになってしまい、どうもすいません。
 体調不良や多忙などいろいろありまして、なかなかたいへんでした。
 まあ、私のネットのことなんかどうだっていいんですが、そうはいかない事情というものもあるのです。

 私のうちが、今年、自治会(町内会)の当番でして。

 あー、ほんとうにどうだっていい話だ……。

 いろんな役があるんですよ。
 寄り合い(会合)やら子どもの見回りとか。

 全部サボってるんです。

 正しく言えば、高齢の母に全部押し付けています。

 親不孝の極致です。

 一応、言い訳はあるんです。
 私はいわゆる9時―5時の週休二日制の勤務の仕事じゃないんですね。夜勤もあれば、日曜日に出勤することもあります。
 そして、自治会のルールなどに合わなくなっています。
 一番わかりやすい例は、ゴミの当番です。朝の6時から9時までゴミ集積所が開いていますが、私の勤務時間には全く合いません。
 不法投棄が増えるのもわかります(言っときますが、奨励も黙認もしているわけではありません。不法投棄を見ると刺し殺したくなるほど怒ります)。

 今の社会制度は、標準世帯(つまり、サラリーマンの父親+主婦+複数の子どもという家庭)に合わせて作られています。
 グルリと見回してみて、そんな幸せな家族がどれだけいますか?
 労働者の3分の1が非正規雇用で、夫婦共働きをせざるを得ず、収入の不安から子どもを作れず、でもそうすると保育所が足りずに子どもを預けられないというのが今の若年層の家庭です。
 標準世帯なんて、ごく一部の特権階層であり、しかも幸い正社員になっても過労死寸前まで働かされるのが今の日本です。

 今年の正月にNHKのEテレ(教育テレビ)で放送された「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」という番組が話題になりました。若手論客による討論番組で、いろいろな新聞のコラムにも出演者の発言が紹介されていました。
 私は見逃した(というか録画機がない)ので、書籍になったものを読んだのですが、ある若手評論家が、日本のOS(基本ソフト)は60年代に作られたまま更新されておらず、バブル崩壊でぶっ壊れてしまったと発言していました。
 私はこの評論家はあまり評価していませんし、内容そのものも目新しいものではありません。
 ただ、言い方は上手いと思います。
 標準世帯をモデルとする社会設計は、もはや完全に行き詰ってしまっています。

 私が購読している地元紙の投書欄に、最近自治会(町内会)制度への異議申し立てがいくつか載るようになりました。
 田舎なので、昔ならばわがままだと一言で片づけられるか、村八分にされるようなことです。
 既存の地域活動に異を唱えている人たちは、活動に参加したくないわけではないと思います。
 私がそうです。特に、東日本大震災以後、地域社会の紐帯や社会的包摂の重要さを多くの人が体感しています。
 ですが、現実問題として、昔のOSのままのために、新しいソフトやアプリが機能しないということになっています。

 私はニッポンを語れるほど器が大きくないので、ごく身近な自治会の話題を例に出しましたが、いろいろなところでこのことが当てはまります。
 最近ならば、お笑いタレントの家族が生活保護を不正受給していたとの問題がありました。これだって、家族・親族がまず養うという日本型福祉(家族主義)の限界を示しています。
 人気タレントならばともかく、普通の人、特に非正規雇用に就いている人が貧困に陥った親族の面倒を見ろと言うほうがおかしいと素朴に思います。

 最近よく聞く言葉「ダイバーシティ(・マネジメント)」は、ただ社会(特に企業)で多様性を認めろというだけのように聞こえます。
 それは生産性を上げる労務管理の言葉として用いられるようです。
 そうではなく、いろいろな個人や家族がいるという前提をもとに、企業社会や地域社会や国家を建て直そう、いわば新しいOSを組み込もうということではないかと理解しています。

 そんなことを思っていたりします。これ以上は今の私には手に余る問題なので、他の頭のいい人にお任せしようと思います。


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