納豆島からの手紙

カテゴリー │社会

 以下は実際に起こった出来事を大幅に脚色したフィクションである。
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〈1月某日〉
「おい、何か変だと気付かないか?」
「いえ、特に」
「そうか、気のせいかな」
「どうかなさったのですか?」
「うむ、妙に納豆の売れ行きがいいのだ。データにはまだ現れていないが、まとめ買いする人もいる。しかも若者が」
「いいことじゃないですか」
「不自然なのだよ、売れ行きが」
「そうですか、だったらちょっと調査してみます。でも、気にしすぎじゃないんですか?」

〈1月某日〉
「……今の見たか?」
「はい……」
「納豆を……」
「カゴいっぱいに……」
「しかも若い人だ。学生風の。従来の購買層である主婦層とは明らかに異なる」
「そういえばSさんも話してました。若年層の女性が2パック買っていったと」
「これは様子がおかしい。可及的速やかに……」
「承知しました。すぐに調査結果をお届けします」

〈1月某日〉
「中間結果をお伝えします。最も懸念されていた某国工作員の線は極めて薄いものと考えられます。また、不二家の工場で作られていて、発覚前に社員が買い占めたとの事実もありません」
「そうだとすると、情報源は絞られるな」
「はい。主に2つのインテリジェンスが考えられます。『おもいっきり』ルートと『あるある』ルート。可能性は低いですが『はなまる』ルートもありうるので洗っています」
「他には?」
「『ほっとモーニング』など類似の情報ルートもありますが、何分NHKなので商品紹介は考えにくいでしょう」
「そうか。ならば主にその2ルートに重点を置いて調査を続けてくれ」
「はい」

〈1月某日〉
「メーデー!メーデー!緊急事態です!」
「どうした!?何があった?」
「納豆の発注ができません!」
「落ち着け!理由は?」
「発注制限がかけられました。注文が殺到してメーカーの生産が追い付かないためです」
「詳しい状況を報告しろ」
「はっ、茨城県水戸市、全滅です」
「他のメーカーはどうだ?」
「ダメです。『おかめ納豆』のタカノフーズ、『なっとういち』の旭松食品、『金のつぶ』のミツカン、その外中小製造業者、どこも仕入れを断ってきました」
「な、何だとぉ……」

〈1月某日〉
「どうしましょう。これでは売場が持ちません。至急、応援の手配を!」
「動じるな!」
「はっ、し、しかし……」
「いずれ潮目は変わる。ブラックホスピタルで『納豆は体に危険だ』と特集を組むかもしれん。そのときに我々がどうするかだ」
「ならば……」
「抜かりなく情報収集を続けろ。いいか、ここが正念場だ。進展するか、それとも撤退するか。高度な判断を要するときだ」

〈1月20日〉
「たった今、情報が入りました。『あるある』ルートのインテリジェンスが壊滅です!」
「情報源は?」
「関テレが記者会見をしています。共同が配信したので、明日の新聞で全世帯が知るでしょう」
「わかった。総員に告ぐ。納豆の全発注を取り消せ。大至急だ!」
「了解!」
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 事実を基にした感動巨編。題して「納豆島からの手紙」。これがまったくの冗談じゃないから怖い(^_^;)
 いかがです、イーストウッドさん、スピルバーグさん、映画化しませんか?いまなら原作料お安くしときますよ。


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この記事へのコメント
なんかネバネバな話やなあ。
んネバネバ?
ネバーな話!
まだまだ出てくるんかいな!?
Posted by ogacci at 2007年01月23日 08:50
ちょっと考えれば納豆でみるみるやせるなんて、科学的に信じがたいんですがね。
でも信じちゃうんでしょうね。
詐欺とかオカルトとかスピリチュァリズムとか、永遠になくならないでしょうね、この手の話。
まさに「ネバー・エンディング・ストーリー」というところで。うむ、さぶい。
Posted by 大橋輝久 at 2007年01月23日 09:52
しかし、納豆好きとしては、納豆買うたびに、なんか白い目で見られるのかなというのが辛いかな。ということです。
Posted by ogacci at 2007年01月23日 15:27
いま納豆を買ってもどうも思われませんよ。
テレビ放映直後なら「うわー、見事に乗せられてるー。この人きっとW杯のときも日の丸ペイントして声嗄らして応援してたんだろうな」って思いますけど。
それに納豆に罪はないですからね。
ブログの女王様もこう言ってますし↓
http://manabekawori.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_21d4.html
Posted by 大橋輝久 at 2007年01月24日 11:53
まさに「あらあら大辞典」ですね。
健康番組のあり方に「非常ベル」を鳴らす奴がいなかったのも問題ですわ。このままほっといたら「大変な事になりますよ!」って、局も番組も違うって?こらまた失礼いたしました!ハラホロヒレハレ・・・。
Posted by masa tatsuta at 2007年01月25日 10:42
そういうリアクションが難しいコメントはやめなさい!どうやって返事をすればいいんだ。

根拠曖昧な健康番組とか疑似科学には大槻教授以外にも真っ当な科学者がずっと批判してたんですね。
ところが善良な人々にとっては「客観的事実」よりも「主観的真実」のほうが大切だったりするんです。
いまのスピリチュアルブームも根は同じだと思いますよ。
Posted by 大橋輝久 at 2007年01月26日 11:03
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