再び「ソーシャル・ネットワーク」

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 先週書いたように、もう一度映画「ソーシャル・ネットワーク」を観てきました。
 なんというか、私の印象は間違ってなかったようです。
 いい映画で、しかし、客を選ぶ映画です。テレビ局が宣伝するようなわかりやすいものではなく、何度も観る必要がありそうです。

 おさらいですが、世界最大のSNS「Facebook」の創設者をモデルにした映画です。ハーバード大の天才プログラマーが大成功を収めていくのですが、それにつれて仲間同士の不和や不信、裏切りが明らかになっていきます。
 それを、現在の訴訟合戦と当時の回想をうまくミックスさせながら膨大なセリフで描いていく、デジタル世界とはかけ離れた泥臭いドラマです。

 前回とは異なり、ちゃんと予習していきました。監督はデヴィッド・フィンチャー。「セブン」「ファイト・クラブ」「ベンジャミン・バトン 数奇な運命」などを撮っています。正直、私の好みとはあまり水の合わない作品です。
 脚本家は、こちらは大好きな「ザ・ホワイトハウス」のアーロン・ソーキン。「ホワイトハウス」が政治ドラマの皮をかぶった人間ドラマだったのに対し、「ソーシャル・ネットワーク」はIT会社を描いたふりをしたヒューマンドラマに仕上がっています。
 「Facebook」と米エリート社会については、
 「映画「ソーシャル・ネットワーク」を見る前に予習をおすすめするものたち」
 や、そのサイトでも紹介されている、
 「Facebookの普及に見る米国の社会階層性と、『米国=実名文化論』の間違い」
 が大変参考になります。

 さて、映画そのものについては前回観たときの感想とほぼ同じです。それの再確認の意味合いが大きいものでした。
 私はアメリカの階層社会についてちょっと予備知識があったためにすぐに理解できましたが、多くの日本人にはちょっと理解しにくいものでしょうね。
 ちょっと付け足しますと、この映画がすごく上手いのは、ストーリーやセリフもそうですが、登場人物がうまく対比できているのです。すなわち、

 ・オタクとマッチョ(スポーツエリート)……バーバードのような名門大学は文武両道が尊敬される。作中ではボート部員が出てきますが他にもアメフトは花形スポーツです
 ・東部の投資エリートとシリコンバレーのプログラマー
 ・エリートクラブ内の「リア充」と外の「非モテ」

 など。本当に、アメリカの上層階層をうまく表しています。
 その一方で取っ付きにくいと感じたのは、キャラが立ってない点です。主人公は実在の人物ですからわかりやすいでしょうが、後の登場人物がちょっと……、でした。

 で、やっぱり思ったのは、いい映画なんだけど、日本での大ヒットは難しいな~、ということでした。
 映画を観たあと、書店のビジネス書コーナーに行くと、「Facebookで○○する」「これからはFacebookだ」「Facebookを導入するための……」という惹句が並んだ本がかなり目に付きました。
 それらを横目で見ながら、でも手に取ることなく、「Facebookも日本で広まらないだろうな~」と思ったのでした。


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