右見て、左見て、もう一度右を見て陰謀論にハマりましょう

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 ジャーナリスト堤未果氏の好評を博している著書『アメリカから〈自由〉が消える』(扶桑社新書)を読みました。「9.11」以降のアメリカでセキュリティが強化され、国民のプライバシーなど諸権利が政府の思いのままになっているのではないか?と警鐘を鳴らした本です。
 ……堤氏の本にしてはなんかかなり遅れてるな、と感じました。大澤真幸・東浩紀『自由を考える』(NHK出版・2003)より前の議論になってるような。それとも現実がオーウェルの『1984年』にまで退行しているのだろうか?

 ところで、堤氏の本で、変なところを見つけたのですが。
「安全保障の脅威から戦争へ」という項目です。「第二次世界大戦参加のきっかけとなった真珠湾攻撃も有名な例だ。
 一九四一年、当時のルーズベルト大統領は、ハワイにいた太平洋艦隊司令官に日本軍に先制攻撃をさせるよう指示を出し、二隻の空母と新鋭艦十九隻を外海に移動させ、老朽管十六隻を日本の戦闘機が攻撃しやすいよう、真珠湾に直線に配置させた。
 くわえてこの時、ルーズベルトは日本軍の進攻を察知した司令官を更迭、レーダーを不能にしたうえに、日本軍の潜水艦が入港できるよう真珠湾の海門を開いている、
 日本の攻撃が成功するやいなや、全米に流された「日本軍のだまし討ちにより米兵二千四百人死亡」のニュースは、当時戦争反対だったアメリカ世論をひっくり返した。
 怒れる世論の後押しでアメリカは大戦参加を果たし、世界の軍事大国という地位を手に入れた。
 ワシントンがこの攻撃を事前に知っていたという事実が公開文書によって明らかになるのは、ずっと後のことになる。」(p.59-60)
 えっと、たしかこれ、別の人も同じようなことを言って大問題になって、「陰謀論だ」と一蹴されたとおもったのですが……。
「さて日本が中国大陸や朝鮮半島を侵略したために、遂に日米戦争に突入し3百万人もの犠牲者を出して敗戦を迎えることになった、日本は取り返しの付かない過ちを犯したという人がいる。しかしこれも今では、日本を戦争に引きずり込むために、アメリカによって慎重に仕掛けられた罠であったことが判明している。
 (中略)真珠湾攻撃に先立つ1ヶ月半も前から中国大陸においてアメリカは日本に対し、隠密に航空攻撃を開始していたのである。
 ルーズベルトは戦争をしないという公約で大統領になったため、日米戦争を開始するにはどうしても見かけ上日本に第1撃を引かせる必要があった。日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行することになる。」(田母神俊雄「日本は侵略国家であったのか」
 それぞれ左右にクルッと回転して「反米」という同じ方角に向いてしまったのかな。



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