労組委員長兼労務部長のつぶやき

カテゴリー │現場を歩く

 いやあ、まーったく更新できてなくてすいません。仕事で行き詰っておりまして。

 どこもそうですが、内需に頼る私どもの業界では、正直言って客足の回復も売り上げも見込めない状態です。業界大手の社長が、この状態があと10年は続くなんてインタビューで答えていたくらいですから。
 ですので従業員の中でも古株で、しかも経営者に近い私が、労働組合委員長兼労務担当部長という役割になって、なんとか人件費の無駄を省くように工夫しているのですが、これが頭が痛い。
 あ、私が別に労組委員長や労務部長という肩書を持っているというわけではなく、零細企業で人が少ない上に労働問題に携わる機会が多かったからということに過ぎないので。実態は、ただの下っ端です。

 経営陣の方針は決まっていて、首切りや賃金カットは極力行わない、それは最後の最後、最終手段だというものです。まず、人・モノ・金の無駄を徹底して省いてからというのが共通認識です。さらに、一人の首を切って誰かが辛い目にあうよりも、みんなで少しずつ辛さを分けようということをしています。
 ですから、無駄な残業はやらない、とか、これまで3人でやっていた仕事を二人でヒーコラやってもらって、余った一人には別の仕事をやってもらおうという、本来の意味の「リストラ(リ・ストラクチャリング=事業再構築)」をやろうと考えています。これなら余剰の人もモノも金も有効に活用できます。
 また、最近、外部のコンサルタントの方が職場にお見えになって、そのついでにアドバイスを仰いだのですが、この人余りのときを利用して、現場での研修をしているところもあると聞きました。長く同じ仕事をしていると、どうしてもルーティンワークになりがちで、ひとつひとつの仕事が雑になり、積み重なって大事故や大トラブルにつながりかねません。なるほど、災い転じて福となすという手もありだなと思った次第です。

 ところが。
 どこにでも抵抗勢力はいるものです。
 残業代目当てに仕事が終わっても帰ろうとしないとか。
 二人でできる仕事をのろのろとして、仕事を繁雑にして人が増えるとか。
 理屈をつけて仕事を先延ばしにするとか。
 ……左翼をもって任ずる私は、本来、労働者側に立つべきなのに、どうして資本家の手先になるのか。
 社会保険庁や自治労を目の敵にする自民党タカ派議員の気持ちがわかります。

 このままだと、双方によくないことが起こります。
 労働者にとっては、これまでの給与水準を維持するためには、誰かの首を切らなくてはならない。
 それは私かもしれないし、隣の席の人かもしれない。
 そして士気は下がり、自社へのロイヤリティが低下し、経営陣への敵意さえも生じる。身内同士で疑心暗鬼になる。顧客へのサービスも散漫になる。
 以前に別の部署で同僚の首切りを目の当たりにした事のある私としては、この事態だけは避けなくてはなりません。
 経営者も金銭的にも精神的にも疲弊していきます。

 というわけで、なんとかしてまとめなくてはいけないのになあ、と試行錯誤している状態です。カンシャクを起して「あいつを首にしろ!」とか「全員給与○○パーセントカット!文句があるやつは今すぐ辞めろ!この時期、求人広告を出せば希望者はいくらでもいる」なんて言いたい気持ちを抑えて、なんとか最善策を模索しているところです。
 さっそく、以前に勉強たテキストの「労働分配率」だの「LPD」だののページをひもといていますが、何の役にも立ちません。
 今年はもっと勉強だな、あーあ。

 ある有名な思想家は「最大多数の最大幸福」と言いましたが、いま必要とされているのは「最小少数の最少不幸」です。たしか社会学者の宮台真司先生の本にあった言葉です。
 いい考えですが、こんなに苦労するとは思わなかった。
 かくして労組委員長兼労務部長(ただし正式な肩書はなし)の私は、今日も明日も重い気持ちで仕事に励むのです。ですから更新が遅れても文句は言わないように。いいね。

 (注・プライバシーその他に配慮して、内容を変えない範囲で細部を変更してあります)


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