十津川警部 アキバを行く!

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十津川警部 アキバを行く!
 秋葉原の電気街がカバーに描かれたこの小説、石田衣良や西尾維新のものではないですよ。
 著者名とタイトル知ったら驚きますよ。いいですか。
 こちらです。

十津川警部 アキバを行く!
 西村京太郎『十津川警部 アキバ戦争』(徳間書店)
 うーん、なんというか、ついに十津川警部もアキバ系に進出ですか……。

 秋葉原のメイド喫茶のメイドさんが誘拐され、十津川警部の警視庁捜査一課が犯人を追い、そこにフィギュアやコンピュータマニアが絡んでくるという、クラクラするようなディープなストーリーです。
 これ、ただの流行モノに便乗したものではなく、なかなかよくできているんです。メイド喫茶のシーンやアキバ名物のおでん缶、マニア向けのショップの描写なんて、素人が手を出すとトンチンカンなものになりがちなのですが、よく感じを摑めています。裏表紙のカバーによると、作者が実際にメイド喫茶に行ってメイドさんにフウフウしてもらった(かどうかは書かれていないが)オムライスを食べたとのことです。そんなシーンも出てきます。
 また、作中にマニアが出てきますが、彼らの心理描写も非常に巧みです。マニア特有の心情をよく理解しており、それがストーリーにうまく応用されています。私も、「あーあー、いるよね、こんな奴ら」と作者の洞察力に感心しながら読みました。
 よくよく考えれば、西村京太郎といえば、トラベルミステリの大御所。言ってみれば鉄道や時刻表のオタクの先駆けです。なるほど、よくわかっているわけです。それでも、登場人物のオタクのひねくれた自尊心を、古希を超えた作家が理解して作品に生かすというのは、やはり高額納税者は只者ではありません。
 それだけでなく、もちろん西村ファン好みの鉄道ミステリのトリックも出てきます。

 で、やっぱりラストも西村京太郎だったわけで……。やはり私はこの作家は好きにはなれません。
 それでも映像化激しく希望!2時間サスペンスドラマでやってください。渡瀬恒彦や高橋英樹がフィギュアショップやメイド喫茶を聞き込みで歩き回るところを見てみたいのは私だけではないはずです。



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