手紙~拝啓 六十五の君へ~

カテゴリー │政治

「♪拝啓 この手紙読んでいるあなたは どこで何をしてるのだろう」

読んでいるわけありませんよね。今は特に。

コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が出されました。対象地域外である私の周囲も浮き足立つような雰囲気があります。

言葉が厳しいゆえに、誤解や過度の不安がある人も多いようです。私は、今回出される「緊急事態」と、自民党憲法改正草案の「緊急事態」違うことは明確に理解しています。

(もっとも、貴党にはコロナ禍を改憲に利用したいと考えている国会議員もいることも承知しています)

何より、命が大事です。国家として、国民を守ることは当然です。

それにも関わらず、私には、今回の緊急事態宣言における最大の懸念があります。

それは、あなたに、責任が取れないことです。

短命に終わった第一次政権で退陣したのは、選挙の敗戦の責任を取ったのではなく、体調不良を原因でした。

返り咲いた政権では、さらに見苦しかった。取り巻きをかばい続けて、汚ならしい野次を飛ばして、「悪夢の民主党政権では」と責任転嫁。これが名目GDP3位の大国の宰相の憐れな姿です。

モリ・カケ・桜。国民は忘れていません。

森友問題ではあなたの妻の行為と、見栄を切った国会答弁のせいで、実直な公務員だった近畿財務局職員の赤木俊夫さんが、上の命令に背けずに、悪事に手を染めてしまい、自死しました。

あなたは言葉は神妙でしたが、国会でニヤニヤしてましたね。

あなたが責任を取れないと断言する最大の根拠が、まさにここです。

つまり、公文書を改竄し、破棄させたことです。

政治家は誰もが歴史の被告席にいます。未来の歴史家から、忖度も斟酌もなく、一言一句が審査されて裁かれます。

あなたは、歴史の法廷から逃走したのです。

あなたの尊敬する祖父、岸信介首相が成立させた日米安保条約(60年安保)は、中学生の歴史教科書に掲載されています。

安保闘争にはいまだ賛否議論があります。しかし教科書に書かれるのは、国会議事堂を取り巻く大規模デモをしたからでも、東大生の樺美智子さんが亡くなったからでもありません。

岸首相を筆頭に、与野党の国会議員が、国のあり方と国民の未来を懸けて、身を切り合う議論を言論の府で交わしたからです。

その歴史の証言者が、国会議事録です。

だから、賛否はあれど、公文書を担保にして、教科書に掲載できます。

もう一度言います。

あなたは敬愛する祖父とは正反対の、歴史の審判からの憐れな逃亡者です。

憲法で保障された私有財産の権利にも抵触する緊急事態宣言を発表する資質はありません。

少し前、あなたを熱烈に支持する人に会いました。学校の一斉休校を指示したことで「あの人は子どもの命を守った」と手放しでほめていました。

文部科学大臣はじめ専門家集団の意見も聞かず、経済産業省出身の首相補佐官の助言だけで決めた件です。

「他に代わりに誰がいますか?」その人は私に詰め寄りました。親しくも嫌いでもない人ですから、すぐにその場を立ち去りました。

今ならば、すぐに答えを返せます。

「あなた以外なら、誰でもいい。ただし、未来への責任が取れる人」

今回の緊急事態宣言には条件付きで賛成します。ただし、その引き換えに、ただちに内閣総理大臣を辞任すること。

あなたに重責は負えない。これを「手紙」の結語に代えさせていただきます。




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