テッペンハゲタカ

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 「鳴くまで待とう」のホトトギスの鳴き声は、「テッペン禿げたか」と聞こえるらしいです(※)。四捨五入で不惑の男にとっては、あまり聞きたくない鳴き声です。この話は元新聞記者の方に教えてもらったのですが、その方は「原稿書けたか」と聞こえて追い詰められているようだと言ってました。
 というわけで、楽しみにしていた映画「ハゲタカ」の話です(←「なんだその前振りは!」とのブーイングが聞こえるけど、幻聴ですねきっと)。

 (※これ、私の勘違いでした。一般的には「テッペンカケタカ」と聞こえるだそうです。)

 海外で権威ある賞を受賞したNHKのドラマが元で、緊迫感あふれる演出と、大森南朋のキレのいい演技が大好きでした。普段はドラマのDVDは買わないのですが、再放送もツタヤでのレンタルもされないだろうと思って買ってしまいました。ドラマの映画化は失敗することも多いのですが、私がよく見る辛口映画サイトでも前評判がすごくよかったので、期待していました。
 で、どうだったかというと、映画館が臭かった。いやいや、梅雨時で汗ばんだ人が多かったことが主たる原因ですが、もうひとつ、観客の年齢層が高かったです。若い人には難しいのかな?大人の世界がわからないガキは「ROOKIES」でも観てればいいのよ(といいつつ、あれはあれで楽しみでもありますが)。

 映画自体はよかったのですが、よかったなりに、ちょっと注文もあります。ドラマでは金融工学の世界でどれだけ金を稼ぐかという勝負がかなりハイレベルで描かれていました。ライブドア騒動や、最近でも日本企業が標的にされるTOBが相次いでいたので、相当なリアリティがありました。映画ではちょっとヒューマンドラマの部分が多かったように思えました。
 もちろん、ドラマとは人間を描くことですから悪いことではないのですが、「週刊少年ジャンプ」の全盛期に読者を引き付けたのは、バトル、バトル、バトルの連続でした。その合間にも、「友情、努力、勝利」の人間的な部分が入っていたのですが、「キン肉マン」から「キャプテン翼」「ドラゴンボール」「スラムダンク」まで、真剣勝負がうまく描かれることがヒットの要因です。ヒューマニズムの部分も大事ですが、せっかく大森南朋、柴田恭兵、玉山鉄二といった役者がそろっているのだから、「仁義なき戦い」金融工学版をもっと見たかったように思います。

 その金融バトルですが、いやー、怖かった。何がって、リアリティがありすぎるんです。ネタばれになるからあまり書けませんが、昨年9月の「ショック」がマルマル再現されてるんです。私は金融業でもありませんし、直接の被害も被っていませんが、それでもあの「悪夢」は心臓に悪いです。「R指定」にするべきです(もちろんこれ、褒め言葉です)。あーいうシーンをもっと増やしてほしかった。それから、ドラマに比べてちょっと甘口でしたね。もっと激しくてもよかったのに。ドラマでは自殺者も多く出てきて、それは現実とパラレルだったので、残虐シーンも当然あっていいと思います。だって、1年間に3万人の自殺者が出てるんですよ、この国では。

 まあ、注文はいろいろありますが、よかったです。ドラマがゴールデンウィークに再放送されて、そこで改めて知ったという人も多かったようです。そういう方、どうぞ映画館へ。よくわからないけど興味があるっていう方、レンタルビデオ店でDVDを借りてからどうぞ。あの緊張感はすごいよ。
 いちばんいいのは、買っちゃうことですけどね。


 それから、絶対に二度と見られないと思っていた幻の映像がありましたので、こちらも紹介。


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