2007年05月28日14:13
「残す」ことより「作る」こと≫
カテゴリー │音楽
友人、知人、恩人が旅立つとき、実体を持つ彼や彼女といっしょに、同時代を過ごしたときの記憶までもが奪い去られるような辛さがあります。この知らせを聞いて、同様の思いをした人もかなりいるでしょう。
「ZARD:坂井泉水さん死去 病院のスロープから転落」(毎日新聞)
ZARDの代表作「負けないで」は谷村新司の「サライ」と同じく「(笑)」付きで扱われ、まともに聞いたり歌ったりするのがどうにも照れくさい曲です。それだけ世間に広まったってことですが。私にとってはよく見ていたドラマの主題歌として馴染みがあった曲です。ヒマと未来はいくらでもあると信じきっていた大学時代のときです。他のいくつもの曲も体に染み込んでいます。
真正面からZARDに向き合えなかったもうひとつの理由に、この頃から音楽シーンが激変したことがあります。プロデューサーが前面に出て楽曲を製作・送り出す方法が全盛となっていくのです。それが、長戸大幸氏と「ビーイング」で、「おどるポンポコリン」やB’zを大ヒットさせました。その「ビーイング系」の最主戦力がZARDでした。後に小室哲哉やつんく♂に継承されるその手法は、歌手やアーティスト軽視に思えて、まだ若かった私にとっては非常に抵抗がありました。ヒットチャートも大混乱し、一部の世代以外は誰も知らないミリオンセラーが続々と生まれました。タイアップ曲として商品と抱き合わせで認知させる手法にはアンシャン・レジームを引きずっていた私は、「それでいいのか?」と批判的な感情を抱いていましたが、それでも今なお口ずさんでしまうのは、長戸氏とZARDの力、そして音楽の不思議な魔力だとしかいいようがありません。
彼女は美形で知られていますが、長年、その顔をファンやマスコミにさらすことはありませんでした。一部には「替え玉がいるのでは」なんていう噂も飛んだほどです。
ただ、これも知っている人は知っているのですが(そして死者にムチ打つようで気が引けるのですが)、彼女は苦労人です。本名でレースクイーンの仕事をしており、セクシーな写真集も出しています。ZARDで有名になったあと、ゴシップ誌が鬼の首を取ったかのように写真集のことを書き立てましたが、私には勲章と思えました。
思い出すのが、「ブルースの女王」淡谷のり子が絵画のヌードモデルをしながら音楽を学んだエピソードです。当時は戦前ですから、今のAV出演よりもはるかに風当たりが強かったでしょう。でも、そのおかげで数々の名曲が残せたのです。
虎は死んで皮を残す。歌手は脱いで曲を残す。いまでも「流出画像」だのと騒ぐ低俗マスコミ連中には理解できないであろう、力強い生き様です。
奇しくも今日はもうひとつ、大きな訃報が入るかもしれません。いい年して責任の取り方もしらないその「偉い人」に何も手向けるつもりはありません。90年代に多くの若い男女に支持され、ずっと歌い継がれる曲をたくさん残した彼女のほうがはるかに偉大です。
今年は猛暑が予想されています。コンビニでたくさんポカリスエットを買って飲むことになりそうです。青いラベルを見つめるたびに、CMで流れていた「揺れる想い」が頭の中で流れることでしょう。嫌な夏になりそうです。
それにしても、享年まだまだ40。「ずっと歌い継がれる曲をたくさん残した」なんてことを書かせるなんて。本当に必要なのは、「残す」ことではなく、新たに「作る」ことだったはずなのに。
冥福なんて祈りたくはない。神だか仏だか知らないが、もしいるのなら、残酷さと理不尽さに怒りしか沸きません。
「ZARD:坂井泉水さん死去 病院のスロープから転落」(毎日新聞)
ZARDの代表作「負けないで」は谷村新司の「サライ」と同じく「(笑)」付きで扱われ、まともに聞いたり歌ったりするのがどうにも照れくさい曲です。それだけ世間に広まったってことですが。私にとってはよく見ていたドラマの主題歌として馴染みがあった曲です。ヒマと未来はいくらでもあると信じきっていた大学時代のときです。他のいくつもの曲も体に染み込んでいます。
真正面からZARDに向き合えなかったもうひとつの理由に、この頃から音楽シーンが激変したことがあります。プロデューサーが前面に出て楽曲を製作・送り出す方法が全盛となっていくのです。それが、長戸大幸氏と「ビーイング」で、「おどるポンポコリン」やB’zを大ヒットさせました。その「ビーイング系」の最主戦力がZARDでした。後に小室哲哉やつんく♂に継承されるその手法は、歌手やアーティスト軽視に思えて、まだ若かった私にとっては非常に抵抗がありました。ヒットチャートも大混乱し、一部の世代以外は誰も知らないミリオンセラーが続々と生まれました。タイアップ曲として商品と抱き合わせで認知させる手法にはアンシャン・レジームを引きずっていた私は、「それでいいのか?」と批判的な感情を抱いていましたが、それでも今なお口ずさんでしまうのは、長戸氏とZARDの力、そして音楽の不思議な魔力だとしかいいようがありません。
彼女は美形で知られていますが、長年、その顔をファンやマスコミにさらすことはありませんでした。一部には「替え玉がいるのでは」なんていう噂も飛んだほどです。
ただ、これも知っている人は知っているのですが(そして死者にムチ打つようで気が引けるのですが)、彼女は苦労人です。本名でレースクイーンの仕事をしており、セクシーな写真集も出しています。ZARDで有名になったあと、ゴシップ誌が鬼の首を取ったかのように写真集のことを書き立てましたが、私には勲章と思えました。
思い出すのが、「ブルースの女王」淡谷のり子が絵画のヌードモデルをしながら音楽を学んだエピソードです。当時は戦前ですから、今のAV出演よりもはるかに風当たりが強かったでしょう。でも、そのおかげで数々の名曲が残せたのです。
虎は死んで皮を残す。歌手は脱いで曲を残す。いまでも「流出画像」だのと騒ぐ低俗マスコミ連中には理解できないであろう、力強い生き様です。
奇しくも今日はもうひとつ、大きな訃報が入るかもしれません。いい年して責任の取り方もしらないその「偉い人」に何も手向けるつもりはありません。90年代に多くの若い男女に支持され、ずっと歌い継がれる曲をたくさん残した彼女のほうがはるかに偉大です。
今年は猛暑が予想されています。コンビニでたくさんポカリスエットを買って飲むことになりそうです。青いラベルを見つめるたびに、CMで流れていた「揺れる想い」が頭の中で流れることでしょう。嫌な夏になりそうです。
それにしても、享年まだまだ40。「ずっと歌い継がれる曲をたくさん残した」なんてことを書かせるなんて。本当に必要なのは、「残す」ことではなく、新たに「作る」ことだったはずなのに。
冥福なんて祈りたくはない。神だか仏だか知らないが、もしいるのなら、残酷さと理不尽さに怒りしか沸きません。
この記事へのコメント
正直驚きました。歌詞、楽曲ともにハイクオリティでした。それだけにもうあの歌声が聴けなくなるのは残念でたまりません。
人の命は「今日とも知れず明日とも知れず」
です。いつ何時命が終わってしまうかもしれないという恐怖が私たちの心には内在しています。人の命が終わってしまったことは残念です。しかし、彼女が残した楽曲は永遠に残ります。彼女によって吹き込まれたもうひとつの命「楽曲」を我々が守っていく事が彼女にとっての餞になると思っています。
合掌・・・。
人の命は「今日とも知れず明日とも知れず」
です。いつ何時命が終わってしまうかもしれないという恐怖が私たちの心には内在しています。人の命が終わってしまったことは残念です。しかし、彼女が残した楽曲は永遠に残ります。彼女によって吹き込まれたもうひとつの命「楽曲」を我々が守っていく事が彼女にとっての餞になると思っています。
合掌・・・。
Posted by masa-tatsuta at 2007年05月29日 23:58
べつに我々が守らなくとも後世に残る名曲だと思うよ。
ただ、あまりにも若すぎる。将来も才能もたっぷりあったのに。
知人でも有名人でも、いい人ほど先に逝っちゃうんだよね。なぜか。
できることなら松岡とかいう奴の寿命を分けてあげたかったと強く思います。
ただ、あまりにも若すぎる。将来も才能もたっぷりあったのに。
知人でも有名人でも、いい人ほど先に逝っちゃうんだよね。なぜか。
できることなら松岡とかいう奴の寿命を分けてあげたかったと強く思います。
Posted by 大橋輝久 at 2007年05月30日 10:03
私は 古い人間で ザード全盛期の頃 あまり テレビみていなかなぁ。ザード人気は すごかったですね。詩が 好きです。音楽同好会(名前検討中
Posted by 村石太マン at 2011年07月15日 19:41
私は 古い人間で ザード全盛期の頃 あまり テレビみていなかなぁ。ザード人気は すごかったですね。詩が 好きです。音楽同好会(名前検討中
Posted by 村石太マン at 2011年07月15日 19:41