ヤマダ電機問題についてあれこれ

カテゴリー │現場を歩く

 最近仕事がらみのことしか書かなくなって、どうもいけませんね。そろそろ道祖神の招きにあひて漂泊の思いがやまなくなる頃合いです。ああ、旅に出てー。
 で、各紙今日の朝刊で採り上げていたこのこと。

 「成長の陰に過酷11時間労働、ヤマダ電機「ただ働き」問題」(「MSN産経ニュース」)

 このことはかなり有名な話で、というよりも流通業界にいる人にとっては常識といっていい話です。人だけではなく、オープン時やチラシの協賛金名目で小売店がメーカーに金を要求することもたびたびです。
 それが、公取委が排除命令を出してはじめて、しかも全紙そろって批判的記事を掲載することにマスメディアの腐れ具合がわかります。どこでもいいから、一紙でもいいから、独自でキャンペーンをするところはなかったのでしょうか。

 私の関係するところも、ヤマダ電機よりもはるかに規模は小さいものの、メーカーの営業マンがいろいろとやってくれることがあります。それはそれで非常にありがたいのですが、中にはそれを当たり前のように考えて、メーカーの人を顎で使う同僚もいるのです。そのたびごとに同僚を殴り倒したくなるのですが、じっと抑えています。ほんの15年前まではメーカーと小売業の立場が真逆だったことを忘れてしまっているのでしょう。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

 ではメーカーの営業マンに何を要求したいのかというと、私の場合、情報です。
 例えば、ビールだったら基礎的知識すら意外と知らない人も多かったりします。発泡酒と第三のビールとの違い、とか、「糖質ゼロ」とは具体的にどういうことなのか、とか。もちろん個々の商品情報も欲しいのですが、基本情報がわかるとひとつの商品だけを売るのではなく、そのカテゴリー全体をアピールすることができます。「メタボが気になる人にはコレを」「給料日には自分へのご褒美にプレミアムビールを」とかね。

 もちろん、こちらからの要望も伝えて商品開発やSPにフィードバックしてもらうこともありがたいです。
 以前、タバコ会社の営業マンと、「あんまりライターなどのオマケで商品を買おうとする人っていないんです。化粧品のサンプルのように、新商品のタバコを一本ずつパッケージされたものがあると、お客様に『これ、今度出た新商品です』ってお薦めすることができるんですが」なんてことを話していたら、「ちょっとそれは……」と遠まわしに断られました。小売店の中には手渡しでなく店頭に置いておくだけで、未成年者が勝手に取っていくことが懸念されるとのことでした。
 けれども次回、その人は当店だけのために、手作りでサンプルを作ってきてくれたりしました。ビニールの小袋の中にタバコ一本と、ちょっとした案内チラシが入っているものでした。もちろん、お客さんにはどんどん勧めました(喫煙者のみですが)。

 つまるところ、熱意、ということになるでしょうか。
 キリンビールのCMのグッさんそっくりの熱い営業マンが担当だったときには、私も力を込めて売りました。売場もいいところに置いたため、おかげさまで好調で、営業の方も喜んでくれました。人が作ったものを、人が使うのですから。そして売るのも人ですから。流通過程に価格や機能以外の要素が入り込んでくるのは当然です。
 というより、モノを通じた人間関係がそこにあるといえるかもしれません。規模の大小や力関係でなく、当たり前としての人を尊重することが、メーカーの営業、小売り、消費者の三者を良き者とすると考えています。そうして互いに成長することで業界が育っていくのです。
 ヤマダ電機だけではなく小売業の人は、メーカーが価格や流通チャネルを握っていた頃をもう一度思い出すことが必要でしょう。

 そういう私は訳あって、仕事の枠を超えた大事なリポートの準備をしています。とてつもなく大きな仕事をする破目になりそうです。ああ、どうして私はいつも誰にも頼まれないのに首を突っ込んじゃうんでしょうね。誰もやらないからだよ、という身も蓋もない答はやめておきましょう。

 もう、ビジネスブログ開設しちゃおうかなー、なんて。


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