聖地巡礼大歓迎です

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 アニメマニアなどの間で「聖地巡礼」なる言葉があります。そのアニメなどの舞台となった場所へ行ったり記念写真を撮ったりすることです。
 私も映画やテレビドラマのロケ地を訪問したりしたことがあるので、その心理は非常によくわかります。自治体や企業などにとってもメリットがあります。即観光収入増とはいきませんが、PRにはなります。韓国で人気の日本映画「Love Letter」のロケ地、小樽へ韓国人ファンが訪れたり、逆に韓国のドラマ「冬のソナタ」のロケ地に日本のオバサンたちが旅行したりと、時には国際交流にもつながります。
 ところが、最近、こんな文章を読んだのです。
らぎらぎは苺ましまろの聖地巡礼として今年3度の浜松訪問を行なってます。
そして当HPにもそれらをレポートとして掲載してきました。
しかしながら昨今のように子供を取り巻く環境の悪化がクローズアップされる中、
聖地として訪れる地域の方々の反応もおのずと厳しくならざるをえません。
そこで今後当面らぎらぎは苺ましまろの聖地巡礼を自粛する事とし
また当HPをご覧になった方にもそうして頂けるようお願いする次第です。
どうかご協力の程宜しくお願いいたします。(後略)(http://www005.upp.so-net.ne.jp/ojyaragi/jikosyou/ojyaraki/ki_0509R.htm
 引用文にある「苺ましまろ」というのは、浜松市を舞台にしたマンガで、アニメやゲームにもなりました。作者も浜松の方らしいです。かわいいキャラクターと精緻な背景画がきれいで、私もブログで一度取り上げたことがあります。リンク先を見てもらえばわかるとおり、静岡県西部の方ならば見覚えのある風景が多く出てきます。
 当地が取り上げられることは非常にうれしく、ファンの方が訪問くださることもまたうれしいのですが、引用文の元となった文章から勘繰ると、どうやらそうは思ってない人もいるようです。
 了見が狭いということは、こういうことを言うのでしょう。あーあ、また静岡県西部は全国に恥をさらしてしまった。

 ファンが多く訪れるということは、それだけ作品の完成度が高いということです。それだけのハイレベルなものを作ったクリエイターを地元から輩出したことをまず喜ぶべきでしょう。そして、その方の作ったものに触発されて遠路はるばるお越しくださった方をもてなすのが人としてあるべき姿でしょう。
 私がロケ地や著名人にゆかりの地を訪れたときには、特になにもされませんでしたし、トラブルにもなりませんでした。最初は不審がられたこともありましたが、ちゃんと丁寧に説明したら、逆に思ってもみないほどの歓待を受けたこともありました。
 別のアニメの「聖地巡礼」サイトを見ると、警察に職務質問されたとありましたが、だから何だというのでしょう。私だってオウム真理教の事件で世間が騒いでいたときには総本部前で職質と持ち物検査をされたことがあり、積極的に協力しました。怪しいことがないのですから、ちゃんと聞かれたことに答えればいいだけです。

 もちろん、訪れる側も落ち度があったりすることがあります。たとえば神社など神聖な宗教施設では足を踏み入れたり撮影をするべきではない場所もあります。そういうときにはちゃんと注意すればいいだけです。有名な寺社でも「撮影はしないでください」「これより先は立入禁止」などの立て看板を見ますが、それと同じです。
 商店や学校の敷地内での撮影は、ちゃんと事情を話して許可を得るべきです。もし差し障りがあるようでしたら断ればいいだけです。ファンも私有地や私人の事情は当然理解しているでしょうし。
 私も少しですがアニメマニアの人たちを知っています。その人たちの圧倒的多数はきちんと常識をわきまえた人たちです。経験的に言わせてもらえば、アイドルマニアよりもはるかに礼節を知っています。

 以下、私の経験則からの「聖地巡礼」「ロケ地探訪」の「コツ」です。
 ・私有地や、公共施設でも管理者がいるところ(たとえば学校など)ではちゃんと身元を明らかにして目的を話す。
 ・その際に遠方より来たことを告げると親切にしてもらえたりする(時もある)。
 ・マンガやアニメの舞台だったら掲載されたマンガやアニメ雑誌などを持っていって見せるとわかってもらいやすい。
 ・ダメだと言われたら素直に従う。
 ・目的を達したらちゃんとお礼を言う。
 ・警察官がいたり職務質問されたりしたらちゃんと答える。氏名や住所などを聞かれることもあるので隠さずに答える。免許証などを見せると不審者がられないのでよりよい。
 ・帰宅したらお礼の手紙を書くと後からの「巡礼者」にとっても好印象となる。
 ・ホームページやブログなどに掲載したらプリントアウトして礼状と一緒に送ると喜ばれるかも。

 以上の点に気をつけてもらえれば浜松や磐田に来られるのは大歓迎です。どんどんお越しください。

 でも、快く思わない地元の人もいるんですね。
 なぜか?
 「苺ましまろ」のファンサイトにあった注意文や、他のアニメのマニアが作る「聖地巡礼」サイトを見ると、どうやら「オタク」という異質なものがコミュニティに来るのが嫌なようなのです。
 それは、外国人を毛嫌いする当地の人たちの反応とかなり似ています。
 子どもを狙った犯罪に言及しているところなど、少し前に広がった外国人犯罪の流言とそっくりです。
 当の本人はもちろんそんなこと口には出さないでしょうが、そういう理由でアニメマニアの訪問を嫌う人がいるのなら、そして、それが原因で「自粛」なんてことになったのならば、これはやはり「恥」というしかありません。


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この記事へのコメント
苺ましまろの場合、実際にある建物(個人のお宅もお店も学校も病院もあります)ばかりですので問題になったのだと・・。
特にアナちゃんの住んでいる家は実在する個人のお宅で、本当にそのまま。
自分の家を勝手に書かれて、舞台にされて知らない人が見にきて嬉しいですかね。
それにここの地域は、普通観光客さんが来るような場所ではなく、ただの静かな住宅街です。
誰かが来て活性化することはないんです。
基本的に住宅しかありませんから。
普段見かけないタイプの人がいれば、すぐに分かってしまうような場所です。
お店だったり市街地なら問題ないでしょうが、苺ましまろは主人公達の住んでいる家の近所の描写が多いため、ファンの方が訪れようとする場所が子ども達の通学路だったり、個人のお宅が立ち並ぶ中だったりするわけです。
歓迎されるわけありません。
あなたのおうちが勝手にモデルになり、知らない人が押しかけて写真撮ったりしていても歓迎でしょうか?

聖地巡礼と時を同じくして、不審者情報が多発していたのも本当のことです。
オタクどうこうではないはずです。
Posted by 蜆塚在住 at 2007年11月20日 12:35
はじめまして。地元の方がご覧くださるとは、ありがたいものです。

コメントの最後のほうからですが、「不審者情報」がマンガやアニメと結び付けられることにおかしさを感じてほしいと思います。これがもし文学やテレビドラマだったらどうか?警察を呼ばれたり出版社を通じて訪問自粛要請が出されることは考えにくいでしょう。

もし私の住まいや地域がマンガの舞台になったら、ですが、マナーや常識さえわきまえてもらえば、個人的には地域活性化や経済効果とは関係なく、いらしてほしいです。アニメ目当てで来られても、ついでに当地のいいところを見つけてもらえたらうれしいですから。閑散としている私の勤務先(浜松市中心部)なんか作品の舞台になってくれないかなあ、なんてマンガを読みながら思いましたし。

とはいえ地元の方の当惑も理解できます。ですから今後は、製作者と舞台との架け橋となるフィルムコミッション的役割がオタクカルチャーの分野でも重要にならざるを得ないでしょう。それを行政がどこまでできるか。浜松市にはこの件を「災い転じて福と」してもらいたいものです。「春日部に負けるな」と(笑)。たいへん示唆に富む投稿、ありがとうございました。
Posted by 大橋輝久大橋輝久 at 2007年11月21日 10:56
あたくしにとっての「聖地」とはプロレス関係になってしまいますね。かつては中島体育センターがあった場所はたしかコンサートホールになってるはずです。
中島亡き後の聖地(主にノアファン)はSTVの「スピカ」でしたが、結局ペイできずに来年2月には閉鎖・取り壊しになります。北海道のプロレスファンにとっても聖地が無くなってしまうのは悲しい事であります。
Posted by masa-tatsuta at 2007年12月03日 13:52
またまとめて書こうと思いましたが、それぞれの「聖地」ってあるんですよね。バイク好きには鈴鹿8耐だったり、マンガ好きにとってはトキワ荘跡だったりと。
思えば芭蕉の『奥の細道』も漱石の松山も最初から観光地ではなかったわけですから。それを考えると地元民としては「巡礼者」を大歓迎とまでいかなくとも見て見ぬ振りをするくらいのホスピタリティは持っていたいと思うのです。

ところでスピカってなくなったの?知らなかった。
Posted by 大橋輝久大橋輝久 at 2007年12月03日 14:22
まだ無くなってないけどね。2月に閉鎖になります。先月ノアが2日連続でファイナル興行をやりました。今これでもかとばかりにイベント入れてます。STVも赤字に転落したようだし、ラジオもHBCに抜かれてるし、状況は最悪です。
Posted by masa-tatsuta at 2007年12月03日 20:19
お前カスだな
Posted by お at 2008年07月07日 12:16
「「荒らし」は相手にすると調子に乗るから、無視するのが一番だ!」(荻上チキ『12歳からのインターネット』ミシマ社、p.54)

だそうです。相手してあげている私は誠実だね。
Posted by 大橋輝久大橋輝久 at 2008年07月07日 14:08
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