災害の時にラジオは役立つか?

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災害の時にラジオは役立つか?
 台風一過です。
 100人乗っても大丈夫なはずの物置が庭に転がってるって、どういうことでしょう?
 雨戸は吹き飛ぶし、電気温水器を覆っていた小屋もつぶれるし、それだけ強烈な台風だったってことです。
 はっきり言って、怖かったです。震災の時に「がんばろう東北」とかツイッターでつぶやいていたのが現地の人には何の役にも立ってなかったことがよくわかりました。
 「地震・雷・火事・オヤジ」の「オヤジ」は「親父」ではなく「おおやまじ(=台風)」のことだという雑学が身にしみてわかりました。

 さて、当地(静岡県西部)は停電になってしまいました。
 テレビもネットもできないので、災害情報の入手に苦労しました。
 そんなときにはやっぱりラジオ。2000年問題のときに買った(懐かしい!)コンパクトラジオと、普段は母の氷川きよしのテープが入っているテープレコーダーを駆使して聞きました。
 結論から言うと、有用だったのは、地元の、それも範囲が狭いところの情報でした。

 NHK第一では、番組の途中に静岡放送局のアナウンサーが読み上げていた、「○○地区で土砂災害警戒情報が発令されました」「△△川で3メートル80センチに達し、氾濫の恐れがあると注意しています」といった、情報ソースが明確な地元情報が、事態の大体の把握に役に立ちました。
 静岡放送(SBS)では、聴取者からのメールがリアルな情報を伝えてくれました。「磐田市の□□さん。わが家は停電です」「××大橋でトラックが横転しています」「走っていた車にトタンがぶつかりそうになりました。バス停や木の枝を避けながら帰りました」といった、ドローカルな情報がよかったです。役に立つだけでなく、「ああ、停電はウチだけじゃないんだ」といった、感情の共有にもなりました。
 途中で挟まれるアナウンサーによる「中部電力からのお知らせです。切れた電線には近付かないようにしてください」とのわかりやすいプロのしゃべりも安心感がありました。

 いいところから書きましたが、あとは全部ひどいです。こんなことじゃ、災害の時にも見捨てられるぞ、と強く思いました。

★NHKラジオ第一「歌の散歩道」
 演歌歌手を招いての歌謡番組。こっちは小屋を固定するのにどうしようかとか、窓ガラス破られないようにビニールテープで補修しなくてはとか、ずぶぬれになっているときに、演歌なんか流してるんじゃねー!

★NHKラジオ第一「つながるラジオ」
 サイトを見るとコーナーすっ飛ばして台風情報をやっていたようです。当たり前だ!
 テレビが見られないときに一番頼りになったのはここでした。
 リスナーからのメールなども紹介していました。NHKの全国放送だから仕方がないとはいえ、どうしても当地には無関係な情報が多いんですね。「千葉県◎◎市にお住まいの……」とか。
 さすがに静岡放送局の人もわかっているみたいで、そんなメールが読まれているときに、すかさずローカル情報を押しこんだり。
 前述の演歌番組と比べるとよくわかりますが、情報だけでなく、送り手の意識が東京中心なんですね。演歌の番組はまだ東京に被害がないからのんきに音楽流すけど、次の番組になったら台風情報を入れると。それも鉄道など交通情報が中心でした。

★SBSラジオ「GOGOワイド らぶらじ」
 NHKで地元の情報が得られないときにこちらを聞きました。
 民放だからCMとかラジオショッピングとか大事なのはわかるけど、台風情報よりも必要かい?
 「女子会」というイベントがあることはわかりました。台風情報よりも、それが大事なんですか?こっち、電気止まって、窓ガラス破られるかどうかと冷や冷やしてたんですが、そんなに「女子会」大事?
 ラジオカーのリポーターが「御前崎(浜岡原発のあるところ)に来ています」なんて的外れのリポートしてました。そこじゃない!あなたがマイク持っているまさにそのときに、台風が浜松に上陸したの!
 SBSもNHKと同様、送り手が中央集権で考えていることがよくわかりました。
 ここでの中央は東京ではなく県庁所在地の静岡市。だから県西部がないがしろにされ、別のリポーターも静岡駅からの中継なんていう見当違いのことしていたのです。緊迫感ないはずだよな。
 この放送局は「こころ 伝えます」というキャッチコピーでキャンペーンをしているんですが、皮肉にもリスナーからの悲痛なメールだけが伝わってきました。

★K-MIX(FM静岡)
★FM Haro!
 うちではFM電波入らない!これは放送局に文句言ってもしょうがないですね。共に浜松に本社があるから、もし聞けたらまた違ったんでしょうね。

 何度か書いていますが、ラジオは災害の時に役に立つと言われます。阪神大震災で見直されて、東日本大震災のときにも同じような声を聞きました。
 別の言葉に変えると、ラジオは災害の時にしか聞かれない、ということでもあります。
 このままじゃ、本当に見捨てられるよ。アマチュア無線のように、ごく一部のマニアだけの娯楽になっちゃうよ。


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