声の話・その2

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 「第三文明」という雑誌を初めて手に取りました。創価学会の系列の出版社が出している雑誌で、新聞に毎月広告が載っているので名前だけは知っていました。
 同じ学会系の「潮」が大きい書店ではよく置いてあるのに比べて、こちらはあまり書店にありません。何店も回って店員さんに聞いても、レジのパソコンを見てはうなってばかりで、待たされた挙句に「うちでは在庫はないようです」と。書店員の質の低下がよく言われますが、新聞広告によく出ている雑誌名くらいは知っててくれよと呆れました。
 結局、アマゾンで買いましたが、普通の雑誌をネット通販で取り寄せるとは思っていませんでした。

 今月号(7月号)にはこのような豪華な論客が名を連ねています。「潮」に比べて一般読者でもわかりやすいレベルに作られており、使いようによっては専門書のガイドとしても役に立つかもしれません。
 どうしてこの雑誌を通販で買ってまで読みたかったかというと、「痙攣(けいれん)性発声障害」の特集があったからです。

 以前もこのブログで取り上げたことがある話題です(2010年4月16日の記事「不治の病」を参照)。
 いきなり声が出なくなったり、出ても締め付けられるような声になったりする病気です。私の場合は医師に相談すると、心因性ではないかと言われ、そのうちよくなると言われました。要するに、放っとかれたわけです。
 私と同じように、専門家にすら理解されないといった経験をした人は多いようです。医学に詳しくない一般の周囲の人に冷たい対応をされたという人はもっといるそうです。
 記事には、劇団の主宰者で俳優・DJ・ナレーターの患者と、「患者会」の代表のインタビューが載っています。

 女優さんは、やはり私と同じように、心の問題ではないかと言われたそうです。周囲からは「声は出るんだからなんとかなるじゃん」「甘えてるだけだ」「同情をひこうとした売名行為だ」などと、心ない言葉を掛けられ、医師からは「精神的に弱いだけではないか」とも言われたそうです。
 アナウンサーや俳優など声の仕事に就く人にとっては、非常に辛いものです。例えて言うと、大工さんがノミやカンナの切れ味が原因不明で鈍ったのを「怠けているからそうなったんだ」と言われるようなものです。美容師さんだとハサミ、画家だったら画筆が使えないなど、それぞれの職業で、商売道具が使えなくなったことを考えてみてもらえると深刻さが理解できると思います。
 その女優さんは、薬物を声帯に注射する治療をしていたそうです。手術か注射程度しか対処療法しかなく、いずれも保険の適用外だそうです。

 患者会の代表の方はもう少し詳しく説明しています。彼女いわく、
 「本来であれば普通にしゃべれるところ、脳の神経がいたずらをしてギュッと声帯を痙攣させたり詰まらせてしまうのです」
 他の発声障害は訓練などで治る可能性がありますが、痙攣性発声障害は完治の方法が見つかっていないとのことです。
 脳梗塞などの後遺症による失語症や、美智子皇后が一時期なった心因性の言語障害などと異なり、声や喉そのものに深刻な影響がないために、逆に理解されにくい面があります。代表の方も、「声は出るじゃないか」「病気と言っても死なないだろう」などと言われたそうです。
 耳鼻咽喉科の医師ですら病名を知らないため、精神安定剤を服用させられたり、お祓いをされたり、先生(学校のか病院のかは不明)に「あいさつもできないのか」と叱られたりとの例もあるそうです。
 公明党の市議を紹介され(わざわざ「公明党」とか「宮本ひろし議員」と市議の名前まで書いてあるところが「第三文明」らしいがそこはご愛敬)、それがきっかけでネットワークができたそうです。

 ふたりが声をそろえて訴えているのは、まずは病名を知ってほしい、そういう病気があることをわかってほしい、ということです。
 私のブログで紹介した新聞記事でも、別の会の人が同じことを言っています。
 これは、非常にわかります。
 傍目にもわかる病気や障害だったら、まだ気遣ってもらえます。でも、見た目も体の他の部分もまったく普通なのですから。声の一部がちょっとだけ違うだけなのですから。
 同じことを書くことになりますが、やっぱり、そういう人がいて、そういう病気があることをまず知ってほしい、ということです。
 声を使う仕事は何もアナウンサーやナレーターや俳優・声優だけではありません。接客係も営業マンも電話オペレーターもそうです。
 変わったところでは、暴力団組員だってそうです。ドスの利いた声が出せないと、商売はやりにくいでしょう。風俗嬢やAV女優だって、声によってまるっきり違ってくる・・・、なに言ってるんだ私は?

 まあ、普通の人だって、そういう病気になることがありますし、もしあなたがちょっとしゃべり方がおかしいという人と仕事などで関わるときに、この人おかしいんじゃないかとか思わずに、「ああ、もしかして、あのブログや雑誌の記事で読んだ病気なのかな」と少し思ってもらえるとありがたいです。
 そういう配慮ひとつで患者の心理的負担はかなり減るのです。


 ★「第三文明」2011年7月号
 雑誌のアフェリエイトができるようになったんですね。カスタマーレビューが2つもついてる。

 「★S.D.C.P~発声障害患者会★」ホームページ http://sdcp.bumi2.com/


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