2011年03月04日17:54
「京大に合格したかった」≫
カテゴリー │いろいろ
……なんて言うと、高校時代の私を知る人はみんな大笑いするでしょう。私の成績は原子力潜水艦のごとく海底を這い、一度も浮上しなかったのですから。眠れる獅子が目を覚ます前に卒業式を迎えてしまったのです。暗黒の高校生活でした。
でも、京都大学に進学したかったのは本当ですよ。私の場合、大学院ですが。
研究していた分野をもっと究めたかったのですが、深く学べるところが日本では東京大学か京都大学しかなかったのです。
東大は、一言でいえば、保守本流。欧米の最新の理論を輸入して紹介し、日本で取ったデータと比較しながら論ずるスタイルが主でした。それに対して、京大は自由奔放。ユニークな理論を編み出して独自の境地に達する先生方が大勢いました。
私のいい加減な性格が合っていたとか、通っていた大学で尊敬できる京大出身の先生に多く教わっていたことなどから、自然と京大に目が向きました。
募集要項や大学院試験の過去問をもらいに京都・百万遍のキャンパスに行きました。
印象は、とにかく黴臭い。その雰囲気は嫌いではありませんでした。それから、外国人が多かった。学生の肌の色がさまざまでした。アメリカのアイビーリーグほどではないにしろ、世界中から頭脳が集まっているのだと、背筋が伸びました。怖気づいたり、恐れをなしたりということはなく、自分もこの中に飛び込んで行くんだという、ワクワク感と心地よい緊張感がありました。
過去問題は、やっぱり難しかったです。専門分野とはいえ、一度も見たことのない、辞書にはいちばん小さな文字で書かれている英単語ばかりがずらずらと並んでいました。
大学院の試験は、担当教授の専門にまつわる問題が出されるため、全く分からないことはないので、なんとか仕事の合間を縫って、英和辞典や専門書と格闘しながら勉強しました。
結局、事情で受験を断念して今に至るのですが、もし受験していたら……。きっと、受からなかったでしょうね。

昨日の「事件」です。
私が京大を受験しようと思ったのは、東大と肩を並べるブランドだったからでもなく、就職に有利だからでもなく、周りの人からすごいと思われたいからでもなく、ただ、勉強したいことが存分にできる環境だったからです。
そのことは、事前に京都大学の先生にお会いしたときにも口を酸っぱくして忠告されました。京大の院に入ったからといって偉いというわけではないぞ、30、40にもなって就職先もなくてオーバードクターのままなんてざらだぞ、挫折したときのために教員免許を取っておけ、など。すべて、正鵠を射たアドバイスです。
それでもなお、大学院生が将来に大きな不安を感じながらも研究に勤しんでいるのは、やっぱり、好きだから。それに尽きます。
昨日、試験の不正行為で警察に逮捕されて「容疑者」となった19歳の予備校生は、どうして京都大学に合格したいと思ったのでしょうか。
高校の成績は中位以上、予備校の京大クラスでも力を付け、他にも名だたる私大を受験し、試験中に携帯電話を駆使してネットの質問サイトで解答を得るほどの技術を持つほどの彼は、どうしてここまで幼稚な計画を立ててまで京大に行きたかったのでしょう。
国公立ならば他の旧帝大だってもちろん一流大学ですし、文科系ならば他の旧高等商科学校(今の一橋や神戸大)や旧高等師範(筑波大やお茶の水)や、いわゆる「駅弁大学」ではいけないのでしょうか。私大でも、東京六大学や関関同立以外ではだめなのでしょうか。あるいは、海外の大学には目は向かなかったのでしょうか。ハーバード大学でマイケル・サンデル教授の講義を聞きたいとか、フェイスブックを超えるソーシャルネットワークを作りたいとか思わなかったのでしょうか。
いったい彼は大学に何を求めていたのでしょう。
受験シーズンももうすぐ終わりです。第一志望に進めた人、第二志望、第三志望だった人、来年またチャレンジする人、まだ進路が決まってない人、いろいろでしょう。
流す必要のない涙を流した人、傷が深くて痛みが疼く人もいるでしょう。
三十路(ただし四捨五入で四十歳)の今になってみれば、そんなこと、武勇伝になったり、笑い話になったりします。
東大を受けて失敗したことを話のネタにしているタレントもいます。私の知人にも、有名な私立学校を受けて落ちたことを明るく話していた人もいます。
本人にとっては、まだ消えない傷かもしれません。でも、この歳になれば、社会的にはあまり関係ないものです。大企業や省庁ではわかりません。私はそんなでっかいところに勤めたことがないので。
逆に、私だって関関同立のうち一校の卒業証書持っていますが、あまり役に立ってませんから。間違いなく通ってよかったですが、その一方で、フィギュアスケートの選手が活躍したらスケートリンク作っちゃうような大学ですからね。
ホント、考えちゃいますよね。
あの19歳の予備校生は、どうして手の込んだ不正行為をしてまで京大に行きたかったんでしょうか?
そして、モニターの前の受験生のあなたは、どうしてその学校に進学したいんですか?
でも、京都大学に進学したかったのは本当ですよ。私の場合、大学院ですが。
研究していた分野をもっと究めたかったのですが、深く学べるところが日本では東京大学か京都大学しかなかったのです。
東大は、一言でいえば、保守本流。欧米の最新の理論を輸入して紹介し、日本で取ったデータと比較しながら論ずるスタイルが主でした。それに対して、京大は自由奔放。ユニークな理論を編み出して独自の境地に達する先生方が大勢いました。
私のいい加減な性格が合っていたとか、通っていた大学で尊敬できる京大出身の先生に多く教わっていたことなどから、自然と京大に目が向きました。
募集要項や大学院試験の過去問をもらいに京都・百万遍のキャンパスに行きました。
印象は、とにかく黴臭い。その雰囲気は嫌いではありませんでした。それから、外国人が多かった。学生の肌の色がさまざまでした。アメリカのアイビーリーグほどではないにしろ、世界中から頭脳が集まっているのだと、背筋が伸びました。怖気づいたり、恐れをなしたりということはなく、自分もこの中に飛び込んで行くんだという、ワクワク感と心地よい緊張感がありました。
過去問題は、やっぱり難しかったです。専門分野とはいえ、一度も見たことのない、辞書にはいちばん小さな文字で書かれている英単語ばかりがずらずらと並んでいました。
大学院の試験は、担当教授の専門にまつわる問題が出されるため、全く分からないことはないので、なんとか仕事の合間を縫って、英和辞典や専門書と格闘しながら勉強しました。
結局、事情で受験を断念して今に至るのですが、もし受験していたら……。きっと、受からなかったでしょうね。

昨日の「事件」です。
私が京大を受験しようと思ったのは、東大と肩を並べるブランドだったからでもなく、就職に有利だからでもなく、周りの人からすごいと思われたいからでもなく、ただ、勉強したいことが存分にできる環境だったからです。
そのことは、事前に京都大学の先生にお会いしたときにも口を酸っぱくして忠告されました。京大の院に入ったからといって偉いというわけではないぞ、30、40にもなって就職先もなくてオーバードクターのままなんてざらだぞ、挫折したときのために教員免許を取っておけ、など。すべて、正鵠を射たアドバイスです。
それでもなお、大学院生が将来に大きな不安を感じながらも研究に勤しんでいるのは、やっぱり、好きだから。それに尽きます。
昨日、試験の不正行為で警察に逮捕されて「容疑者」となった19歳の予備校生は、どうして京都大学に合格したいと思ったのでしょうか。
高校の成績は中位以上、予備校の京大クラスでも力を付け、他にも名だたる私大を受験し、試験中に携帯電話を駆使してネットの質問サイトで解答を得るほどの技術を持つほどの彼は、どうしてここまで幼稚な計画を立ててまで京大に行きたかったのでしょう。
国公立ならば他の旧帝大だってもちろん一流大学ですし、文科系ならば他の旧高等商科学校(今の一橋や神戸大)や旧高等師範(筑波大やお茶の水)や、いわゆる「駅弁大学」ではいけないのでしょうか。私大でも、東京六大学や関関同立以外ではだめなのでしょうか。あるいは、海外の大学には目は向かなかったのでしょうか。ハーバード大学でマイケル・サンデル教授の講義を聞きたいとか、フェイスブックを超えるソーシャルネットワークを作りたいとか思わなかったのでしょうか。
いったい彼は大学に何を求めていたのでしょう。
受験シーズンももうすぐ終わりです。第一志望に進めた人、第二志望、第三志望だった人、来年またチャレンジする人、まだ進路が決まってない人、いろいろでしょう。
流す必要のない涙を流した人、傷が深くて痛みが疼く人もいるでしょう。
三十路(ただし四捨五入で四十歳)の今になってみれば、そんなこと、武勇伝になったり、笑い話になったりします。
東大を受けて失敗したことを話のネタにしているタレントもいます。私の知人にも、有名な私立学校を受けて落ちたことを明るく話していた人もいます。
本人にとっては、まだ消えない傷かもしれません。でも、この歳になれば、社会的にはあまり関係ないものです。大企業や省庁ではわかりません。私はそんなでっかいところに勤めたことがないので。
逆に、私だって関関同立のうち一校の卒業証書持っていますが、あまり役に立ってませんから。間違いなく通ってよかったですが、その一方で、フィギュアスケートの選手が活躍したらスケートリンク作っちゃうような大学ですからね。
ホント、考えちゃいますよね。
あの19歳の予備校生は、どうして手の込んだ不正行為をしてまで京大に行きたかったんでしょうか?
そして、モニターの前の受験生のあなたは、どうしてその学校に進学したいんですか?