2008年05月22日10:04
平松vs橋下 セレブ首長?対決≫
カテゴリー │社会
「セレブリティ」略して「セレブ」は今では大金持ちで派手なふるまいをする人を指す言葉として定着したようですが、もともとは「著名人」という意味でしかなかったんですね。
ということは、片や元アナウンサーでニュースキャスターの平松邦夫大阪市長と、テレビタレントとしても活躍(?)した橋下徹大阪府知事は、大阪の2大セレブ首長と言えるのではないのでしょうか。
少し前の新聞記事です。
「平松・大阪市長VS.橋下知事 財政再建めぐり大激論」(「asahi.com」5月15日)
「府:PT案 平松・大阪市長と橋下知事が意見交換会 /大阪」(「毎日.jp」5月16日)
別の新聞では「静の平松、動の橋下」なんて書かれていましたが、この日はかなり激しくやりあったようです。
論点は大阪の文化事業です。在阪オーケストラなどへの補助金廃止を提示した大阪府改革プロジェクトチーム(PT)案に対して、平松市長が反論したものです。
ここの議論は文化論の根幹をなす大事なところです。ぜひリンク先の記事を読んでみてください。
私はクラシック音楽はほとんど縁がなく、コンサートにはまったく足を運んだことがありません(ポップスオーケストラならありますが、それはクラシックの中には入らないのでしょうね)。
そんな私ですが、大フィルの朝比奈隆といったら、無条件で尊敬のまなざしで見てしまいます。またセンチュリー響は名前すら知らなかったのですが、世界的指揮者の金聖響氏は知っています(名前と顔くらいですが)。その金聖響氏が専任指揮者を務めていたことは驚きでした。
その他、PT試案で私に関わりのあったところでは、よく徹夜明けで資料集めに通った図書館や博物館の統合、大相撲よりもむしろプロレスで馴染みの深い府立体育会館の廃止、あと、知らなかったのですが、国立文楽劇場が半額で入れる制度もあるそうです。
平松市長が言う、一度文化が途切れたら立て直しに何年もかかるというのは、芸術・芸能行政や企業に携わっていない人でもわかるでしょう。
例えば「企業文化」というものがあります。日本の場合、創業者の意志が大きく、同じ自動車でも、トヨタと本田技研では企業文化は大きく異なります。松下のような家族型経営を維持しようという企業もあり、一方で、儲けがすべてと考える企業もあります。「利益がすべて」という企業でも、昨年多く表面化した食品偽装問題のような、目先の銭金以外は何も考えてない企業もあれば、キヤノンの御手洗富士夫氏のような、雇用を維持するために利益が必要だとの信念を持つ会社経営者もいます(だからといって、キヤノンの偽装請負が正当化されるわけでは決してありませんし、御手洗会長が会長を務める日本経団連の方針には強く反対しますが)。
勝手な想像ですが、平松市長がそのような主張を持つ理由に、アナウンサー出身だからではないかと思います。華やかなアナウンサーですが、確固たるアナウンス技術が必要で、各放送局ともに体育会系のスパルタ教育で伝承させているのです。技術の継承なくしては、アナウンサーだけでなく、放送技術が途絶えてしまいます。
一方で、橋下府知事の「署名よりも金だ」の考えもまた、わかります。はっきり言って、暴論です。でも、大阪は(市も府も)、財政再建団体直前です。企業に例えるのなら、大事業に失敗して倒産寸前の会社に、さらに隠し借金がたっぷり見つかった状態です。そんなときに、何がオーケストラだというのもわかります。
大阪は財界が文化を支えていた歴史がありますが、その企業もまた、かなり厳しい状態です。例えば近鉄グループは近鉄劇場や遊園地などを閉鎖しました。プロ野球球団の大阪近鉄バファローズをオリックスと統合したのは記憶に新しいところです。批判する声も目にしましたが、近鉄の人の気持ちもわかります。文化だ、芸術だといって、肝心の電車が走らなくなったらどうしようもないですから。
他の企業も、名前こそ出しませんが、文化事業から撤退・規模縮小しているところもあります(あの「食いだおれ」の人形だって、ひとつの文化ですからね)。
大事なのは、どこを残していき、どこをどのような形で変えていくか、その選択と集中をオープンでクリーンな形で行うことでしょう。
どうしてこんな話を持ち出したかというと、前回の内容、
「浜松市立高校を潰そうってのは……」
を考えるひとつのヒントとしてもらいたかったからです。
金は大事です。でも、それによって、目に見えない文化を潰してしまっていいのか?一度失った文化や芸術や芸能は、立て直すのに何年も、何十年もかかる場合があります。永遠に戻ってこないこともあります。事例は歴史や地域の中にいくらでも転がっています。
考えるのも、決定するのも、私ではありません。
浜松市民です。
ということは、片や元アナウンサーでニュースキャスターの平松邦夫大阪市長と、テレビタレントとしても活躍(?)した橋下徹大阪府知事は、大阪の2大セレブ首長と言えるのではないのでしょうか。
少し前の新聞記事です。
「平松・大阪市長VS.橋下知事 財政再建めぐり大激論」(「asahi.com」5月15日)
「府:PT案 平松・大阪市長と橋下知事が意見交換会 /大阪」(「毎日.jp」5月16日)
別の新聞では「静の平松、動の橋下」なんて書かれていましたが、この日はかなり激しくやりあったようです。
論点は大阪の文化事業です。在阪オーケストラなどへの補助金廃止を提示した大阪府改革プロジェクトチーム(PT)案に対して、平松市長が反論したものです。
ここの議論は文化論の根幹をなす大事なところです。ぜひリンク先の記事を読んでみてください。
私はクラシック音楽はほとんど縁がなく、コンサートにはまったく足を運んだことがありません(ポップスオーケストラならありますが、それはクラシックの中には入らないのでしょうね)。
そんな私ですが、大フィルの朝比奈隆といったら、無条件で尊敬のまなざしで見てしまいます。またセンチュリー響は名前すら知らなかったのですが、世界的指揮者の金聖響氏は知っています(名前と顔くらいですが)。その金聖響氏が専任指揮者を務めていたことは驚きでした。
その他、PT試案で私に関わりのあったところでは、よく徹夜明けで資料集めに通った図書館や博物館の統合、大相撲よりもむしろプロレスで馴染みの深い府立体育会館の廃止、あと、知らなかったのですが、国立文楽劇場が半額で入れる制度もあるそうです。
平松市長が言う、一度文化が途切れたら立て直しに何年もかかるというのは、芸術・芸能行政や企業に携わっていない人でもわかるでしょう。
例えば「企業文化」というものがあります。日本の場合、創業者の意志が大きく、同じ自動車でも、トヨタと本田技研では企業文化は大きく異なります。松下のような家族型経営を維持しようという企業もあり、一方で、儲けがすべてと考える企業もあります。「利益がすべて」という企業でも、昨年多く表面化した食品偽装問題のような、目先の銭金以外は何も考えてない企業もあれば、キヤノンの御手洗富士夫氏のような、雇用を維持するために利益が必要だとの信念を持つ会社経営者もいます(だからといって、キヤノンの偽装請負が正当化されるわけでは決してありませんし、御手洗会長が会長を務める日本経団連の方針には強く反対しますが)。
勝手な想像ですが、平松市長がそのような主張を持つ理由に、アナウンサー出身だからではないかと思います。華やかなアナウンサーですが、確固たるアナウンス技術が必要で、各放送局ともに体育会系のスパルタ教育で伝承させているのです。技術の継承なくしては、アナウンサーだけでなく、放送技術が途絶えてしまいます。
一方で、橋下府知事の「署名よりも金だ」の考えもまた、わかります。はっきり言って、暴論です。でも、大阪は(市も府も)、財政再建団体直前です。企業に例えるのなら、大事業に失敗して倒産寸前の会社に、さらに隠し借金がたっぷり見つかった状態です。そんなときに、何がオーケストラだというのもわかります。
大阪は財界が文化を支えていた歴史がありますが、その企業もまた、かなり厳しい状態です。例えば近鉄グループは近鉄劇場や遊園地などを閉鎖しました。プロ野球球団の大阪近鉄バファローズをオリックスと統合したのは記憶に新しいところです。批判する声も目にしましたが、近鉄の人の気持ちもわかります。文化だ、芸術だといって、肝心の電車が走らなくなったらどうしようもないですから。
他の企業も、名前こそ出しませんが、文化事業から撤退・規模縮小しているところもあります(あの「食いだおれ」の人形だって、ひとつの文化ですからね)。
大事なのは、どこを残していき、どこをどのような形で変えていくか、その選択と集中をオープンでクリーンな形で行うことでしょう。
どうしてこんな話を持ち出したかというと、前回の内容、
「浜松市立高校を潰そうってのは……」
を考えるひとつのヒントとしてもらいたかったからです。
金は大事です。でも、それによって、目に見えない文化を潰してしまっていいのか?一度失った文化や芸術や芸能は、立て直すのに何年も、何十年もかかる場合があります。永遠に戻ってこないこともあります。事例は歴史や地域の中にいくらでも転がっています。
考えるのも、決定するのも、私ではありません。
浜松市民です。
この記事へのコメント
自治体のオケって、どこもたいへんなんですね。確かに金銭の問題はあっても音楽文化は何を差し置いても守るべきだと思うね。大阪はオケは勿論、吹奏楽も大変有名なところです。大阪市音楽団も有名だし。少なくとも「聖域」は守ってほしいかなと。
ちなみに金聖響氏は女優のミムラの旦那さんなんでしたな。
ちなみに金聖響氏は女優のミムラの旦那さんなんでしたな。
Posted by masa-tatsuta at 2008年05月23日 12:25
マンガの『のだめカンタービレ』の留学編にもフランスで国や市の援助が減らされている話が出てきますね。日本では東京でも都知事が都響のリストラをするとかで大騒ぎになったみたいですし(こういう話を聞くと、石原慎太郎って本当に文学者なんだろうかと大いなる疑問を抱きます)。
もちろん「聖域」なんだけど、それよりも生死や将来の国の存亡に関わる教育・医療・福祉などの「聖域」が大事との考えもあるわけで。
そして別の人にとっては郵便局も「聖域」だし、さらに別の人にとっては道路だって「聖域」ですし。難しいね。
だから公平性と透明性が担保された第三者による判断が必要なわけです。大阪はわかりませんが浜松はそこがかなり怪しいのです。
もちろん「聖域」なんだけど、それよりも生死や将来の国の存亡に関わる教育・医療・福祉などの「聖域」が大事との考えもあるわけで。
そして別の人にとっては郵便局も「聖域」だし、さらに別の人にとっては道路だって「聖域」ですし。難しいね。
だから公平性と透明性が担保された第三者による判断が必要なわけです。大阪はわかりませんが浜松はそこがかなり怪しいのです。
Posted by 大橋輝久 at 2008年05月23日 14:20