J・ボードリヤール死去

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 今日の新聞で知りました。

 「仏の哲学・社会学者、ジャン・ボードリヤール氏が死去」(読売新聞)
 「Jean Baudrillard, sociologue et philosophe, est mort」(Le Monde)

 この方は私がはじめて知った、なおかつ唯一読んだことのある(日本語でですが)現代思想家です。
 ですからあまり深くは論じられませんが、『消費社会の神話と構造』(紀伊国屋書店)で開陳した記号としての消費論は、いまやあたりまえの認識となっています。特に同書が出版されたのはポストモダンの論調がさかんで、同時に東京でもっとも高度消費文化が花開いた時期だったので、その頃のマスコミ・広告の人の話には、よくこの亜流の話が出てきました。
 芸能問題の分析では、『シミュラークルとシミュレーション』(法政大学出版会)に大きく拠りました。80年代の「アイドル・シミュレーションシステム」の分析のおおもととなり、いまなおその残滓であるモーヲタやAKB48にも十分適用できます。

 湾岸戦争以降の論考や『不可能な交換』にはついていけなかった浅薄な読者ですが、巨星がまたひとつ堕ちたことは確かです。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


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